弦・管・打楽器

Vandoren(バンドレン)|クラリネットマウスピースの選び方

バンドレン・マウスピースの選び方イメージ画像

クラリネットを始めたからには、マウスピースだけでも自分専用を用意したいもの。

自分に合ったマウスピースを使えば、上達も早まり練習も楽しくなりますね。

本記事では、クラリネットマウスピースについて調べると、必ずと言っていいほど登場するブランド、Vandoren(バンドレン)についてご紹介します。

リードでも有名なバンドレンは、マウスピースのラインナップも充実しているので、自分にはどのモデルが合うのか、どれを選べばいいのか迷ってしまうという方も多いはず。

そんな方のために、バンドレン・マウスピースの豊富なラインナップの中からおすすめモデルをピックアップし、その特徴をご案内します

Vandoren(バンドレン)|世界標準のクラリネット・マウスピース

Vandoren(バンドレン)以外のブランドであっても自社の製品について「バンドレン青箱3番相当(の硬さ)のリード」「バンドレンB40相当(のティップ・オープニング)のマウスピース」などという表現をすることがよくあります。

そのくらい、バンドレンの製品はクラリネット・マウスピース界で有名であり定番なのです。いわば世界標準とも言えるでしょう。

バンドレンは、ユージン・バン・ドーレン氏が1905年にフランスで創業した木管楽器アクセサリーブランドです

主にクラリネットとサックスのリード、マウスピース、リガチャーを製造しています。

創業当初から、誤差の少ない商品を効率的に製造できる機械の設計に注力してきたバンドレンは、安定した品質を誇り、入手もしやすいことから世界中のクラリネット・サックス奏者に愛用されるようになりました

当時、リードやマウスピースは奏者個人や小さな工房によって作られていたため、誰もがいつでも良い商品を手に入れられたわけではなかったのです。

その意味で、早くから機械化して大量生産を目指したバンドレンの手法は画期的で、世界で広く使われることになったのでした。

バンドレン・マウスピースの特徴

バンドレンマウスピースの魅力は、何と言ってもバリエーションの豊富さにあります。

一般的なB♭管用マウスピースだけでも、以下の4シリーズ合計37種類のモデルがあります。

・トラディショナル:13種類
・プロファイル88:13種類
・13シリーズ:10種類
・ブラックダイヤモンド:1種類

これだけの種類があれば、自分の好みにより近いマウスピースが見つかりそうですね。

逆にこんなに多くのモデルの中でどれが自分に合うのかわからない、という方もいるでしょう。そんな方のために、定番モデルの特徴をご紹介します。

5RVライヤー

■ティップ・オープニング:約1.09mm
■フェイシング:M(約19mm)

5RVライヤーは、バンドレンの2代目ロベール・バン・ドーレンがフランスの名手ジャック・ランスロ(1920-2009)の依頼で設計したマウスピースです。

ロベールは既に好評を得ていた5RVというモデルをベースに、オープニングをやや広く、フェイシングをやや長めにとったマウスピースをランスロのために設計したのでした。

ランスロが日本に演奏旅行に来た際に、その演奏を聴いた多くの奏者がバンドレンマウスピースの素晴らしさを知り、5RVライヤーというモデル名が日本全国に広まったと言われています。

5RVライヤーは、明るい音色でコントロールしやすいモデル。

ティップ・オープニングは狭めで、本来であれば硬め(3.5程度)のリードを合わせるのがセオリーですが、様々な硬さのリードに対応する柔軟性があるマウスピースです。

初心者であれば2.5や3のリードを合わせれば楽に吹けます。ダークトーンが好みであれば、硬めのリードを合わせると明るさが多少抑えられますが、吹くのにはテクニックが必要でしょう。

B40

■ティップ・オープニング:約1.195mm
■フェイシング:ML(約19.5mm)

B40は、ランスロと並ぶフランスの名手ギィ・ドゥプリュ(1924-)が監修し、1981年に発売されたモデルで、音量や音色の変化がつけやすく、多彩な演奏に対応できる、どちらかと言えば中上級者向けのマウスピースです。

オープニングが広く、フェイシングも長めなので、リードが振動しやすい設計となっており、息もストレートに入っていきます。

消費する息の量が多めなので、「たくさん息が入って心地よい」と思う人もいれば「吹いた感じが苦しくてすぐに疲れてしまう」と感じる人もいるでしょう。

太く柔らかい音色なので、リードは2.5〜3程度の柔らかめのものを合わせた方が、音の輪郭がぼやけにくくなります。中上級者であれば、3.5程度の硬めのリードでも鳴らせますが、リード選びが少々シビアになるでしょう。合うリードが見つかれば素晴らしい音色を奏でることができる、少し気難しいマウスピースと言えます。

B40ライヤー

■ティップ・オープニング:約1.175mm
■フェイシング:L(約20mm)

B40の音色はそのままに、よりナチュラルに吹けることを目指して開発されたB40ライヤーは、2004年に発売されたマウスピースです。

B40よりもオープニングをやや狭くしフェイシングを長くとった設計で、息量がそれほどない奏者でも力まず無理なく鳴らせます。

「5RVライヤーの吹き心地だと物足りないけれど、B40だと苦しい」という方におすすめのモデルで、初心者にも扱いやすいでしょう。

B40に近いまろやかなサウンドですが、明るさが少し加わるため、輪郭のはっきりした音色になります。

リードは3程度がフィットし、B40ほどリード選びには苦労しないでしょう。

プロの演奏家にも愛用者が多い、吹き心地と音色のバランスが良いマウスピースと言えます。

BD5(ブラックダイヤモンド)

■ティップ・オープニング:約1.13mm
■フェイシング:M(約19mm)

BD5(ブラックダイヤモンド)は、2015年に発売された最も新しいモデル。

オープニングは狭め、フェイシングもやや短いコンパクト設計のマウスピースなので、特に弱音や高音のコントロールがしやすいことが特徴です。

また、マウスピース内部の容積が大きいため、オープニングの割には息がたくさん入る構造となっています。

音抜けが良く、低音域から高音域までムラなく鳴らせるので、初心者にもおすすめのマウスピースです。

暖かみのある落ち着いた音色で、リードは3〜3.5+程度が合うでしょう。

先にご紹介した既存モデルとは材質が異なり、ややマットな仕上げのモデルです。

自分に合ったマウスピースを選ぶために

たくさんのモデルがあるバンドレンですから、ついカタログに記載されているスペックにばかり目が行きがちです。

しかしながら、当然その数字はマウスピースを構成する要素すべてを表現したものではありません。数値はあくまで目安であることを覚えておきましょう。

また、マウスピースを初めて選ぶ際には、まずは定番とされているものの中から、吹きやすいものを探すことをおすすめします

すべての種類を吹き比べたところで、その微妙な違いを正しく判別するのは経験豊富なベテランの方であってもなかなかむずかしいからです。

そして、選んだマウスピースはしばらく浮気せずに使い続けてみましょう。一定期間、同じマウスピースを使うことで、自分の中に基準となる感覚が育つことが期待できるからです。

例えば、今使っているマウスピースよりも「息が入りやすいもの」「音が太いもの」「音色が明るいもの」など、マウスピースを選ぶ際のポイントがはっきりしてくるので、今後のマウスピース選びがぐんと楽になるのです。

前述したように、バンドレンのクラリネットマウスピースは入手がしやすいことが魅力です。本記事を参考に、ぜひお近くの楽器店で、まずは定番モデルからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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DoReMi
音楽系教育機関で音楽家の学習や演奏活動を支援しながら、ピアノやソルフェージュなど自身の音楽活動を継続しています。音楽学習者がつまずきやすい音楽の概念を読んで理解できるサイトを創りたいという思いから、「DoReMiOnline」を立ち上げました♪