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チェンバロの音色の仕組み|レジスター、8フィート、カプラー

チェンバロの音色のイメージ画像

今回は、チェンバロの音色を調節するための仕組みについてのお話です。

チェンバロの音色を調節する仕組みは、現代の鍵盤楽器とは大きく異なります。

チェンバロで豊かな音色を奏でるためには、8フィートや4フィートといった音の種類や、レジスターなどの内部の仕組みを理解することが欠かせません。

本記事で、チェンバロの音の種類や音色を調節する仕組みを一緒に理解しましょう!

チェンバロの音の種類|8フィート・4フィート/フロント8・バック8

まずは、チェンバロの音の高さや種類について確認していきましょう。

チェンバロには、一般的に8フィートと4フィートという2種類の音の高さが存在することが一般的です。

8フィートや4フィートという呼び方は、パイプオルガンのパイプの長さが音の高さと関係していたことに由来します。

そして、チェンバロの音の種類は、8フィートが2種類、4フィートが1種類という組み合わせが一般的です。それぞれの種類に対応する弦が張られています。

基準のピッチ(高さ)となるのは8フィートです。8フィートには2種類あり、それぞれ音質が異なります。

2つの8フィートの違いは、弦をはじく位置です。弦をはじく位置の違いから音色の違いが生まれ、それぞれ「フロント8(エイト)」「バック8(エイト)」と呼ばれています。フロント8は固く細い音、バック8のほうが丸みのある響きの音です。

また、4フィートとは、同じ鍵盤を弾きながら1オクターブ上の音が鳴る仕組みのことです。つまり、音の高さは4フィート>8フィートという関係です。

チェンバロの種類によっては、1オクターブ低い音である16フィートが備わっているものもあります。この場合、音の高さは、4フィート>8フィート>16フィートという関係になります

カプラーの仕組み|2つの鍵盤が同時に動く

チェンバロは、電子オルガン(例:エレクトーン)のように、鍵盤が二段備わっているものがあります。このような構造のチェンバロを、二段鍵盤と呼びます。

二段鍵盤の場合、上の鍵盤がフロント8、下の鍵盤がバック8という配置になっています。それぞれを単独で鳴らすことができます。

さらに、カプラーという機能を使うことで、バック8とフロント8、両方を同時に鳴らし、音量を増すことができます。このカプラーの仕組みについて見ていきましょう。

チェンバロの下の鍵盤の奥にはクサビ状の突起物がついていますが、通常の状態では上鍵盤に触れることはありません。

しかしながら、チェンバロには、上の鍵盤を奥に押し込み、突起物の届く位置まで移動することができる仕組みが備わっています。

上の鍵盤を動かすことにより、クサビ状の突起物が上鍵盤にも触れるようになります。これにより、下鍵盤を弾くと同時に上鍵盤も同時に動き、バック8、フロント8の音が同時に鳴るようになるのです。

このような仕組みを総称してカプラーと呼びます。カプラーは、英語でcouplerと書きます。coupleという単語が含まれていることからわかる通り、上の鍵盤と下の鍵盤をつがいにする役割を持っている、というわけです。

 

では、4フィートについてはどのような仕組みになっているのでしょうか。

4フィートのジャック(弦をはじく爪のついている部品)は下鍵盤に乗っていて、下鍵盤を弾くとバック8のジャックと同時に動いています。しかしながら、通常は爪が弦にかかっていないため、音は鳴りません。

そこで、4フィートを機能させるためのレバーを動かすことで、4フィートのジャックの爪も弦に触れるようになります。この状態では、バック8と4フィートの音を同時に出せるようになります。

逆に、バック8のレバーを動かして爪の位置をずらすことで、4フィートの音だけ鳴らすことも可能です。

レジスターによる弦の配列のバリエーション

チェンバロには、レジスターと呼ばれる部品がついています。

レジスターとは、もともとはオルガンに備わっていた、音色を調節する音栓のことを指していました。

チェンバロのレジスターは、複数の弦の配列を切り替えて音色や音量を調節するための仕組みです

レジスターの弦の配列の組み合わせとしては、まず、バック8、フロント8、4フィートそれぞれの単独使用で3種類あります。加えて、バック8+フロント8、バック8+4フィート、バック8+フロント8+4フィートの3種類があり、合計で6種類の配列があります

まず、最初に使うのはバック8でしょう。これを基準として、少し音量を増したい場合、力強さが欲しい場合にはカプラーを入れてバック8+フロント8にします。

さらに華やかさが欲しい場合には4フィートも入れて、バック8+フロント8+4フィートにします。

曲の中で強弱を使い分けたい場合は、カプラーを入れた状態で、下鍵盤と上鍵盤を使い分けます。下鍵盤を弾くとフォルテ、上鍵盤を弾くとピアノを表現することができます。

J.S.バッハの「イタリア協奏曲」には楽譜にフォルテ、ピアノの指示があり、このように使い分けます。

また、楽器によってはバフ・ストップ(リュートストップとも言う)と呼ばれる機構があります。

バフ・ストップは、弦にフェルトや革を触れさせることで振動を抑え、ピチカート(弦を指ではじいて音を出す奏法)的な効果を生む機能です。これは組み合わされることなく、単独で使用します。

スタガリングによる表現の重要性

上述のカプラー(上の鍵盤と下の鍵盤を共鳴させる機構)を入れたときに爪が同時に複数の弦をはじくようだと、抵抗がそれだけ大きくなり、タッチが重くなります。

たとえば、バック8+フロント8+4フィートとフルでレジスターを入れている場合を考えてみましょう。

この場合、4フィート→バック8→フロント8と、複数の弦を時間差ではじくように調整することが行われますが、これをスタガリングと言います

このスタガリングによって、鍵盤を押すスピードの違いで音の広がりに変化が生まれます。また、抵抗を軽くすることで、タッチによって表現に幅をつけることが可能になります。

爪の調整も忘れずに

もちろん、発音に直接かかわる爪のことも忘れてはなりません。

まず考慮すべきは、爪の長さです。OFFの時には弦にかからず、ONの時には弦にかかる長さに調節しなければなりません。そして、ONにした時にも弦から爪がはみ出しすぎないようにすることも重要です。

それから、爪によるヴォイシングを考慮することも不可欠です。ヴォイシングとは、楽器の音色を整えたり、音同士の調和を図ることです。

爪が調和した良い音を出せるように、爪を削って、形や薄さを調整します。隣の音とくらべて、ばらつきが出ないように調整することが大事です。

レジスターなどの仕組みで音色を豊かに

チェンバロの音の出る仕組みを知り、レジスターなどを使い分けることは、バロック音楽ならではのコントラストを生むのに有効です。

ただし、細かく使い分けるというよりも、大きなまとまりで使用するのがポイントです。ぜひ、効果的に使ってください。

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