今回のテーマは「合唱」の歌い方についてです。
実は、合唱曲を歌うときに多くの人が、「音程」をとることばかりに気を取られがちです。
もちろん、合唱を成功させるためには音程も大切です。
しかしながら、合唱においては、音程以上に意識すべき「歌い方」があるのです。
本記事では、その合唱において大事にすべきことについてお話ししたいと思います。
学校の合唱コンクールで指揮者に選ばれた方やよりよい合唱を作りたい方は、本記事のポイントを踏まえて、合唱に適した歌い方をぜひ試してみてください。
合唱を成功させるための歌い方|歌い手全員が意識するべきこと
合唱の歌い方を考えるうえでもっとも大事なこと、それは「ハーモニー」です。
そもそも、合唱は、ソプラノ・アルト・テノールなどの複数のパートに分かれています。
そして、合唱が成り立つためには、それぞれのパートが混ざり合いきれいなハーモニーを奏でることが不可欠です。
合唱で重要なのは、主旋律=メロディーだけではありません。
メロディーを支える他のパート(副旋律)も、合唱全体のできを左右する重要なパートなのです。副旋律のレベルによって、合唱のレベルが決まると言っても過言ではありません。
つまり、合唱の歌い方において最も重視すべきことは、「それぞれの旋律同士が全体としてきちんと調和しているかどうか」に意識を向けることであると言えます。
以上を踏まえて、合唱の各パートが意識すべきことを確認しておきましょう。
まず、メロディー部分(主旋律)を歌う人は、他のパート(副旋律)によってメロディーがどのように引き立っているのかを意識する必要があります。
一方で、ハモる部分(副旋律)を歌う人は、自分のパートがどのように合唱を豊かにしているのかを意識して、複数の音が重なり合っていることを感じながら歌うことが大切です。
いずれのパートにも共通して言えるのは、「自分のパートと他のパートが重なり合うことで、全体として調和できているか」に意識を向けることが重要であるということです。
メッセージを伝える合唱の歌い方|ポップスなどとの違い
もう1つ、より良い合唱をつくり上げるために欠かせない視点は、「歌詞のメッセージを伝えるように歌うこと」です。
合唱の歌い方は、ポップスなど他の音楽の歌い方とは異なるものです。
合唱曲を歌うときに、普段カラオケでポップスやロックを歌うときと同じように歌っていませんか?
もちろん、ポップやロックのような歌い方でも、合唱は形としては成り立ちます。
しかしながら、合唱には、ポップスなど合唱以外の歌唱とは異なる特徴があるのです。
合唱が他の歌唱と異なる点は、合唱を見ている人に向けて「生の声でメッセージを届ける」という点です。
合唱というものは、ポップスなどのようにマイクを使わずに、ご家族や審査員に向けて生の声で歌うものであるのが基本です。
そして、合唱は一般的にステージや体育館など広い場所で歌われることがほとんどです。
そのため、合唱曲の歌い手の方々の声は、広い空間に分散してしまいます。
声が分散してしまう状況で必要になってくることは、「言葉をはっきり伝える」ということです。
具体的には、子音を普段より強めに、特に単語の一文字目の子音を強めに発すると、言葉が聴いている人にしっかり伝わります。
実は、少し違和感を感じるくらい強く子音を発音しないと、広い会場の観客には言葉が効果的に伝わりません。
したがって、合唱の歌い方で重要なポイントは、自分たちの発している言葉を会場のみなさんに届けるために、子音を強く発音することなのです。
加えて、合唱の歌い方においては、「メッセージの内容を語り掛けるように歌うこと」も欠かせないポイントです。
これまでに歌ったり聴いたりした合唱曲を思い出してみてください。
どの合唱曲も、その歌詞が強いメッセージ性を持つ内容ではありませんでしたか?
というのも、基本的に合唱曲には、聴衆の心に訴えるようなメッセージ性の強い曲が選ばれる傾向があります。
したがって、歌詞の内容が相手にきちんと伝わるかどうかが、聴衆の心をどのくらい動かすのかを左右します。
そのため、合唱の歌い方においては、メッセージの内容を深く理解し語りかけるように歌うこともまた、とても大切なのです。
淡々と読み上げるのではなく、メッセージを語り掛けるように歌うことで、メロディーとともに歌詞までもが聴いている人の心に響き、感動を呼ぶことができるのです。
合唱の歌い方では技術だけでなく「考え方」が大事
今回は合唱の歌い方の技術的な部分にはほとんど触れず、むしろ、合唱を成功させる上で大切な「考え方」をお伝えしました。
他のパートとのハーモニーや、言葉を伝えることを意識するだけで、合唱の表現は驚くほど変化します。
正しい音程をとることだけにこだわらず、どうしたら合唱曲で聴いている人を感動させられるのか、本記事のポイントもふまえながらぜひ一度考えてみてはいかがでしょうか?
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