コントラバスの初心者の方のお悩みポイントとして、コントラバスの音量が小さいという問題があります。
「音量を大きくして」と言われても、意識しただけで音量が大きくなったら苦労はしません。
間違った方法で強引に弾くと、音色が悪くなってしまう危険性さえあります。
そこで、コントラバスの音量が小さいとお悩みの方向けに、コントラバスを伸び伸びと大きく響かせるためのコツをまとめてみました。
コントラバスの音量が小さい場合の3つのチェックポイント
コントラバスの音量が小さいと悩む方が、コントラバスの音量を大きくするためには、まず弾き方を見直してみましょう。
1つめのチェックポイントは、「隣の弦を同時に弾いてしまっていないか」です。
隣の弦を同時に弾く=不協和音が混ざって音が濁るため、良い音にはなりません。
さらに、複数の弦を弾くということは、弓の力が分散してしまうということです。これはコントラバスの音量が小さい場合の主要な原因の1つです。
隣の弦を弾いてしまう理由は大きくわけて3つあります。
1つめは、大きな音を出そうとして重さをかけ過ぎ、隣の弦も同時に弾いている場合です。
大きな力をかけるとその分弦高が下がるので、隣の弦も同時に弾いてしまうということです。
2つめは弾く場所が指板に寄りすぎている場合です。
初心者の方は、特にD線を弾く場合に指板寄りを弾きすぎると、隣のG線、A線も同時に鳴らしてしまいがちです。
3つめは肘の角度が弾こうとする弦の位置に対して的確ではない場合です。
弦によって適切な肘の角度は異なるので、移弦の時に特に同時に2つの弦を弾いてしまいがちになります。
隣の弦を一緒に弾いてしまうことが原因でコントラバスの音量が小さい場合には、これらの3つのポイントに注意してみてください。
2つめのチェックポイントは、「極端に弾く場所が指板寄りになっていないか」です。
実は、コントラバスの音量は、指版寄りを弾くのと駒寄りを弾くのとで、大きく異なります。
弦の指板寄りを弾くと、音は弱く、柔らかく、細くなります。
逆に、駒寄りを弾くと、強く、固く、太くなります。
つまり、基本的には、指版寄りを弾くと小さい音量になり、駒寄りを弾くと大きい音量になる、ということです。
曲によって調整は必要ですが、音量が小さい場合は駒寄りを弾くようにしてみましょう。
3つめのチェックポイントは「弓を手前に寝かせて弾いていないか」です。
コントラバスの音量が小さい場合、弓を手前に寝かせてしまっている人は少なくありません。
弓を手前に寝かせて弾くということは、弓の毛の一部しか使用せずに音を鳴らしているということです。
そして、音量を大きくするためには、弓の毛が全体的に弦につくように弾くのが基本です。
そのため、弓を寝かせていることが原因で音量が小さい方は、弓の毛の使い方が部分的になっていないかに気を付けてボーイング練習をしてみましょう。
コントラバスの音量とメンテナンスの関係
コントラバスの弾き方に問題がないのに音量が小さい場合は、楽器の調整を見直してみましょう。
他の項目でも書きましたが、コントラバスは見た目の大きさとは裏腹にとても繊細な楽器です。
メンテナンスを怠るとそれだけで楽器の鳴りは悪くなり、音量が小さくなってしまうのです。
初心者の方がコントラバスで音量を出すためにまず行ってほしいチェックポイントを挙げてみます。
①弓について
・松脂はきちんと塗られているか(松脂は塗る量が多すぎても少なすぎても良い音は鳴りません)
・毛替えの時期になっていないか(「コントラバスの弓について」の記事に記載したセルフチェックを行ってみてください)
②弦について
・弦が寿命を迎えていないか(「コントラバスの弦について」の記事に記載した弦の寿命の見極め方を参考にしてください)
・弦高が適切か(「コントラバスの弦について」の記事に記載した標準的な弦高を参考にしてください)
③駒について
・駒の足が浮いていないか
・駒反りがおきていないか
ここまでチェックしても問題がない場合はコントラバスの専門店に調整を依頼しましょう
外側から見ることのできない魂柱や表板、裏板の中などの問題は演奏者ではわかりません。
お店の方は「少し音の鳴りが悪くなった」というような曖昧な伝え方でも、そのコントラバスにどのような調整が必要なのか適切にアドバイスしてくれます。
良くお話を聴いて、見積を依頼するようにしましょう。
今まで音量が小さいと言われた時にどうすれば大きな音が出せるのかという対処法を書いてきましたが、そもそも吹奏楽や管弦楽にコントラバスがいる理由は何でしょうか?
吹奏楽で考えるとわかりやすいのですが、音量の大きさだけを求めるならば、チューバの本数を増やせばいいのです。
コントラバスが必要なのは、管楽器にはない、弦楽器らしい「響き」を曲にもたらすためにあるのです。
そのため、管楽器と同じような音量を無理やり出さなければならない、と思い込む必要
はないのです。
初心者の皆さんもこのことをぜひ念頭に置いて、コントラバスの豊かな響きを楽しんでください。
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