金管楽器を演奏する方にとって、重要な問題の1つに「口バテ」があります。
練習では上手く吹けても、本番では口がバテてしまいすぐにボロボロ…。どうすればそのような悲劇を回避できるのでしょうか?
今回は、金管楽器奏者が実践できる、口がバテにくくなる方法をいくつかご紹介したいと思います。
金管楽器の口バテ対策|バテを防止する3つの視点
金管楽器の口バテは、様々な要因から引き起こされます。
口周りの筋肉が発達していないからだったり、呼吸の仕方が適切ではないからだったり、様々な原因が考えれられます。
今回は、金管楽器奏者が口バテに対処する方法を「口周りの筋肉を鍛える」「アンブシュアモーションを取り入れる」「息の吸い方を見直す」の3つにしぼってご紹介いたします。
ご自身の状況に合ったものを選んだり、組み合わせたりしながら試してみてください。
口周りの筋肉を鍛える
なぜプロの金管奏者は初心者と違ってすぐに口がバテないのでしょうか?
それは、必要な筋肉が鍛えられているからです。
金管楽器を吹くにあたって必要な筋肉は様々ですが、バテの問題に直接関わってくるのはやはり口周りの筋肉です。
ここを鍛えることで、バテにくくすることができます。
そこで、金管楽器奏者の為に開発された専用の筋トレグッズがあるのでご紹介したいと思います。
商品名はWARBURTON社開発の「P.E.T.E. PRO」で野中貿易(株)のホームページに詳しく解説されています。(引用:https://www.nonaka.com/information/detail.jsp?id=20933)
エリックミヤシロ氏も推薦しており、ぜひ試してみたい一品です。
しかし、学生さん等金銭的に購入が厳しい方は、「鉛筆を咥え、その鉛筆を地面と平行に保つ」という方法もありますよ。
これは、20年ほど前(もっと前かも…)のバンドジャーナルでプロの金管奏者が紹介していた方法です。
実は鉛筆のような軽い物でもずっと咥え、しかも真っ直ぐに保つことは結構キツイのです。だからこその筋トレなのですが、その分、継続できた時の効果は十分に期待できます。
P.E.T.E. にせよ、鉛筆にせよ、最初は少しずつ無理が無いように始めることが大切です。
本番前にあわてて始めると逆にスポーツでいう筋肉痛の状態で舞台に上がる事になるので、注意しましょう。
アンブシュアモーションを取り入れる
金管楽器奏者の方は、アンブシュアモーションという言葉を聞いたことがありますか?
まだまだ認知度が低いと思われるこの言葉ですが、金管楽器を吹く上でとても役に立つものなのでご紹介したいと思います。
金管楽器奏者が楽器を演奏するとき、どんな人でも音が上下するときに無意識にマウスピースの位置を上下左右に動かしています。
アンブシュアモーションとは、この動きの事で、意図的に実行する事でよりスムーズな演奏が可能となります。
私はこの技法をホルン奏者兼アレクサンダーテクニーク講師であるバジル・クリッツァー氏のyoutube動画で初めて知り、本当にビックリしました。
なぜなら、それまで楽器を吹く時はなるべく楽器も口も動かさないことが良いと思っていたからです。
アンブシュアモーションを取り入れる事で口に不要な負荷をかけなくても高音が鳴らせるようになり、バテ問題も飛躍的に向上しました。
バジル・クリッツァ―氏のブログにアンブシュアモーションについての詳しい解説がありますので、興味がある方はぜひご覧いただけたらと思います。(バジルクリッツァ―氏のブログ:https://basilkritzer.jp/archives/4866.html)
息の吸い方を見直す
「お腹に息を入れなさい」と言われたことはありませんか?
腹式呼吸について指導する際によく使われる言葉です。
この言葉について、先述したバジルクリッツァ―氏はアレクサンダーテクニークの視点から「息はどんなに頑張ってもお腹には入らない、肺に入るのだ」と指摘しています。
アレクサンダーテクニークとは、身体の構造を理解し、演技や演奏、発声時に無意識にしてしまっている不要な動きを取り除くという技法で、ジュリアード音楽院でも取り入れられています。
腹式呼吸を叩き込まれた時代の金管楽器奏者は、ちゃんと息を吸えていない人が意外と多いのです。
リラックスした状態で、思いっきり息を吸ってみて下さい。
肺にたっぷりと息が入ると、鎖骨や肋骨が広がって肩も上がります。これが自然で効率的な息の吸い方なのです。
お腹を使うのは息を吐く(音を鳴らす)時です。
しっかりと下腹部に力を入れて、息を支えるようにしましょう。息が上手く吸えていないと、音を鳴らす時に本来息がしてくれる仕事を口で補わなくてはいけなくなります。
その結果、口に余計な負荷がかかり、バテやすくなってしまうのです。
金管楽器奏者にとってバテは永遠のテーマ
金管楽器を吹く以上バテ問題は常につきまとうテーマです。
それはプロでも決して例外ではありません。
バテずに金管楽器を演奏し続けられるかどうかは、やはり日頃の努力と工夫がものを言うのです。
今日明日で解決できる問題ではありませんので、今回ご紹介したトレーニングや考え方などを参考に、できることから少しずつ気長に取り組みましょう。
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