【音名とは】
音名とは、音楽で使う共通の音の高さ(=楽音)に対してつけられた名前のことです。例えば、「ドレミファソラシド」の「ラ」の音の高さは、440Hz(ヘルツ)と定められています。
音名は、「CDEFGAH」「「ハニホヘトイロハ」など、国や地域によって異なった呼び方が存在します。
本記事では、音名の意味や、各音名の高さ、各言語での呼び方などについて見ていきます。
目次【押すと移動】
音名とは?意味をわかりやすく
はじめに、音名とはどのようなものなのか、その意味についてきちんと確認しておきましょう。「新しい音楽通論」では、音名は以下のように説明されています。
音楽に用いられる音(楽音)の高さにそれぞれつけられた固有の名称を音名といい、絶対的な音の高さ(特定の振動数)をあらわす。
菊本哲也「新しい音楽通論」(全音楽譜出版社)1975年、p.19より引用。
つまり、音名とは、音楽ではこの高さの音を使いましょうと定められた音(=楽音)について、各音を識別するためにつけられた音の名称のことを指しているのです。
私たち人間は、物体が出す振動が空気を伝わってきたものを、「音」として感じます。
この「音」には高さがあります。感じる音の高さは空気の振動数(振動の密度の高さ)によって異なり、振動数が多いほど高く聞こえます。
たくさんある音の高さの中から、音楽に使う共通の音として定められた振動数(高さ)を識別するために、「音名」が使われるのです。
一般的に、振動数=音の高さはHz(ヘルツ)という単位で表されます。今日、世界で共通して使われている音は、ドレミファソラシドの「ラ」の音を440Hzと定めています。
各音名の音の高さ=振動数について
前章で、音の高さは振動数(Hz)で表され、「ラ」の音を440Hzと定めて基準音にしていることを確認しました。本章ではさらに踏み込んで、各音の振動数について詳しく見ていきましょう。
同じ音に感じる音同士は振動数が2の倍数の関係
まずは私たちが同じ音だと感じる音同士の振動数の関係について見ていきましょう。
私たちが「ラ」と感じる音は、1つではありません。音の高さが高いラもあれば、低いラもあります。
実は、私たちが同じ音と感じる2つの音は、振動数(Hz)が2の倍数で割り切れる関係になっているのです。
たとえば、基準音となるラは440Hzであるのに対して、1オクターブ低いラは1/2倍の220Hzであり、1オクターブ高いラは2倍の880Hzという関係にあります。
となり合う音同士の関係は「差」ではなく「比」
続いて、となり合う音同士の関係に使ういても確認していきましょう。
前提として、音楽で用いられる音の数を確認しておきましょう。通常、音楽で用いられる音は、「ド ド♯ レ レ♯ ミ ファ ファ♯ ソ ソ♯ ラ ラ♯ シ」の12の音で構成されています。
人間にとって、となり合う音の高さの差は、均等であるように感じられます。たとえば、ドとド♯の間隔と、ド♯とレの間隔は、同じ感覚であるように聞こえるということです。
同じ感覚であるように聞こえますが、となり合う音同士の振動数は、差が等しいわけではありません。この点については、「音律と音階の科学」で詳しく説明されています。
ハ長調のドから半音ずつ上がっていく音列で、隣り合う音の周波数比を計算すると
277.18 / 261.62 ≒ 1.0594
293.66 / 277.18 ≒ 1.0594
311.12 / 293.66 ≒ 1.0594と、みごとに一致する。これらは公比約1.0594の等比数列だったのだ。図5に示したマリンバでも、半音ずれた2枚の音板の下の2本の共鳴管の長さはこの公比を持つ等比数列となる。このように音の高さに対するわれわれの感覚は「比」感覚だ。
小方厚「音律と音階の科学」(講談社)2007年、p.23より引用。
つまり、私たちが等間隔と認識している音は、等しい差(たし算)で並べられているのではなく、等しい比(かけ算)で並べられているのです。
そして、ある音の高さは、1つ低い音の高さに1.0594…をかけた数値になります。各音の振動数は、公比1.0594の等比数列であると言い換えることができます。
各音の振動数は?
となり合う音の振動数は1.0594倍であることを確認しましたが、これを踏まえて各音の振動数を見ていきましょう。
各音名に割り当てられた振動数(Hz)は、下表のようになります。
音名(ドレミ) | 振動数(Hz) |
ラ | 220.00 |
ラ♯ | 233.08 |
シ | 246.94 |
ド | 261.63 |
ド♯ | 277.18 |
レ | 293.66 |
レ♯ | 311.13 |
ミ | 329.63 |
ファ | 349.23 |
ファ♯ | 369.99 |
ソ | 392.00 |
ソ♯ | 415.30 |
ラ | 440.00 |
ラ♯ | 466.16 |
シ | 493.88 |
ド | 523.25 |
ド♯ | 554.37 |
レ | 587.33 |
レ♯ | 622.25 |
ミ | 659.26 |
ファ | 698.46 |
ファ♯ | 739.99 |
ソ | 783.99 |
ソ♯ | 830.61 |
ラ | 880.00 |
ここまでで確認してきた、各音名の振動数のポイントについてまとめておきます。
- ある音は1つ低い音の1.0594倍の振動数である
- 同じ音(例:高いラと低いラ)は、振動数が2の倍数の関係にある
音名の種類について|各国ごとの音の呼び方は?
音名は、各国や地域ごとに異なったものが用いられています。
日本でもおなじみの「ドレミファソラシ」は、イタリア語の音名です。各国ではどのような音名が用いられているのかを最後に確認しておきましょう。
イタリア語の音名は、「ドレミファソラシド」を使います。イタリア語で表記すると、「Do Re Mi Fa Sol La Si」です。鍵盤で表すと、以下の図のようになります。
日本語の音名は、「ハニホヘトイロハ」です。「ハ」がイタリア語の「ド」にあたります。こちらも鍵盤上に表してみましょう。
ドイツ語の音名は、「CDEFGAHC」と表記されます。読み方は「ツェー デー エー エフ ゲー アー ハー」で、「C」がイタリア語の「ド」にあたります。ドイツ語音名も鍵盤の図で確認しておきましょう。
英語の音名は、「CDEFGABC」という順でアルファベットがあてがわれています。英語も、「C」がイタリア語の「ド」にあたります。英語の音名は鍵盤上では以下のようになります。
音楽の世界では、ソルフェージュなどで頻繁に用いられる「ドレミファソラシド」だけでなく、他の音名を使用した会話も頻繁に行われます。
たとえば、ソルフェージュの先生は、「今日はA mollの曲をやりましょう」とドイツ語音名を当たり前のように使用します。
先日音大の先生方も「じゃあG majorで始めましょう」と、英語の音名で会話をしていました。
そのため、音楽を長く続けようと考えている方は、「ドレミファソラシド」だけでなく、ドイツ語や英語の音名も覚えておくと、学習や会話がスムーズに進むでしょう。
【このページは参考になりましたか?】
少しでもお役に立てたのであれば、気軽にシェアしていただけるとうれしいです♪ Tweet