金管楽器を演奏されているみなさんは、「なるべくプレスをしないように」と言われたことはないでしょうか?
金管楽器を演奏する上でのプレスとは、マウスピースに唇を押し付ける事、もしくはその圧力の事を指します。
これまでプレスは金管楽器を演奏する上で、なるべく排除すべきものとされてきました。
しかしながら、最近はプレスは良い音を出す為に必要な事であるという考えが出てきて、インターネットでもプレスについて検索すると、「しないほうが良い」派と「しても良い」派双方の意見を見ることができます。
今回はそんな意見の対立するプレスについて、それぞれの角度から考えていきたいと思います。
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金管楽器で「プレスはしない方が良い」と言われる理由
金管楽器でプレスはなるべくしない方が良いとされる理由は、なんと言っても「バテ防止」の為です。
金管楽器のバテ問題をネット検索すると、多くの方が、「プレスをしない」事を予防法として挙げています。
では、なぜ唇のバテとプレスが関係するのでしょうか?
それは、プレスをする事で唇の血流が悪くなり、うまく唇が振動しなくなる事がバテの大きな原因とされているからです。
そのため、多くの金管楽器奏者はノンプレス奏法を身に付けようと、様々な特訓に励んでいるのです。
例えば、一定の圧が掛かると音が出なくなるノンプレス装置を楽器とマウスピースの間に装着したり、机の上に置いた楽器が動かないように音を出したりといった練習があります。
そこまでしないにしても、普段から、極力唇をマウスピースに押し付けないよう気を配って演奏している人はかなりいると思われます。
やはり金管楽器にとってバテ問題というのは、誰もが抱える悩みの一つで、その行きつく先が「プレスはしない方が良い」となるようです。
金管楽器で「プレスはしても良い」と言われる理由
さて、バテ防止の観点からは「しない方が良い」と言われているプレスですが、一方でプレスは必要なものだと真っ向から対立する意見もあります。
プレスが必要だとされる一番の理由は、「唇とマウスピースを密着させる為」です。
この「密着」は、金管楽器で美しい音を出す為には必要不可欠なものです。
時々、息の音のような雑音が混ざって悩んでいる人がいますが、これは唇とマウスピースの密着が足りていない場合が多いのです。
唇とマウスピースの間に少しでも隙間があると、唇の振動がうまく楽器に伝わらず不効率な上、雑音が混ざる等のトラブルにもなります。
しっかりとプレスをして唇とマウスピースを密着させる事が、金管楽器にとって美しい音を出すための必須事項と言えるのです。
結局プレスはしても良いのか?ダメなのか?
「バテ予防」と「美しい音」を天秤に掛けるのは、非常に難しい問題です。両立するにはどうすれば良いのでしょうか?
ここで重要になってくるのが、「プレスの押し返し」です。
確かにプレスは美しい音を出す為に必要なのですが、ただプレスするだけではすぐにバテてしまいます。そこで、マウスピースに押し付けた唇を押し戻す力を加えてみましょう。
具体的には、マウスピースに唇をプレスした後、わずかに唇を前に突き出すのです(ウの発音時のような唇を突き出す感じ)。
そうすることで、プレスをしっかりしても、歯に唇が押し付けられ血流が阻害される事を軽減できますし、密着度もより高める事もできるので一石二鳥なのです。
プレスはしても良い。だけどバテ対策もしっかりしよう
プロの中にも、「プレスはなるべくしないように」と言う人はいますが、それでも唇とマウスピースの密着を実現するための必要最低限のプレスは必ず行っています。
そう考えると、プレスはやはり金管楽器には必要不可欠なものです。
しかしながら、ただ力任せに押し付ければ良いというものではありません。
プレスの押し返しを意識し、フレーズの合間や休符にはこまめにマウスピースから唇を離す等、バテ対策もしっかりする事が大切です。
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