モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」をご存知でしょうか。
国民的マンガ&アニメ「のだめカンタービレ」で、のだめと千秋先輩がデュエットしたあの曲です。今日での名称は、「2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448 (375a)」です。
今回は、「2台のピアノのためのソナタ」に関するある疑問について回答していきたいと思います。
実は、モーツァルトの時代には、「連弾」が主流であり、2台ピアノというスタイルはあまり普及していませんでした。
それなのに、なぜモーツァルトはわざわざ連弾ではなく2台ピアノというスタイルを選択したのでしょうか?
実は、2台ピアノというスタイルの裏には、ある人物の存在があったのです。
「2台のピアノのためのソナタ」と弟子のアウエルンハンマー
モーツァルトは作曲家として活動するだけでなく、ピアノを教える先生でもありました。ピアノを教えていた弟子たちの中でも、高い実力を持っていたとされるのが、ヨーゼファ・アウエルンハンマーです。
アウエルンハンマーは、資産家の娘です。アウエルンハンマーは、モーツァルトを師として慕っていただけではなく、モーツァルトに激しい恋愛感情を抱いていました。
モーツァルトは、その気持ちを受け入れることはありませんでした。しかしながら、アウエルンハンマーの実力は認めていたため、彼女と演奏するための難易度の高い曲を作曲したのです。
なぜ連弾ではなく2台のピアノのためのソナタなのか
モーツァルトが活躍していた時代は、まだ2台ピアノの曲はメジャーではありませんでした。2人で鍵盤楽器を演奏するときは、連弾で演奏されることが多かったようです。
ところが、 モーツァルトは、アウエルンハンマーとのデュエットで2台ピアノの楽曲を完成させるに至りました。なぜ連弾にしなかったのでしょうか??
自分なら、どんな動機があれば連弾にして、どんな動機があれば2台ピアノにするか、想像してみてください。
2台ピアノという形式になった理由は、アウエルンハンマーの"容姿"にありました。
モーツァルトにとって、アウエルンハンマーは醜くてたまらなかったのです。モーツァルトが残した手紙でも、彼はアウエルンハンマーの容姿をひどくけなしています。
つまり、モーツァルトはアウエルンハンマーと並んで演奏したくなかったのですね。
そのため、並んで1台のピアノを弾く連弾ではなく、2台のピアノのための曲を作曲するに至ったのです。
考えてみれば当然かもしれません。全くタイプじゃない、むしろ醜いとさえ思う自分に好意を寄せている異性なんて、連弾したいとは思わないでしょう。
逆に、めちゃめちゃタイプの好意を寄せる女性であったら、連弾をして少しでも近くで一緒に音を奏でたいと思うのが人間の性でしょう。
そのようなわけで、連弾が主流であった時代でありながらも、今でも弾き継がれる名曲「2台のピアノのためのソナタ」が誕生したのでありました。
最後に、以上のような背景で成立した「2台のピアノのためのソナタ」の概要を書き記しておきます。
モーツァルト「2台のピアノのためのソナタ」
英語名 Sonata for 2 Pianos in D major, K.448
- 第1楽章 Allegro con spirito
ニ長調 4分の4拍子 ソナタ形式 - 第2楽章 Andante
ト長調 4分の3拍子 ソナタ形式 - 第3楽章 Molto allegro
ニ長調 4分の2拍子 ロンド形式
https://www.youtube.com/watch?v=tq1rZXzjP-I
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