音楽

ソルフェージュとは(意味)|ソルフェージュのやり方や学習効果

ソルフェージュのイメージ画像

【 ソルフェージュ 】
ソルフェージュとは、音を聴き取ったり、楽譜を見てドレミで歌ったりすることによって、音楽感覚、音楽理論、聴音能力、読譜・視唱能力 など、音楽の基礎体力を総合的に養うトレーニングのことを指します。

ソルフェージュって何だろう?

この記事は、そのような疑問を持った方に向けて書いた記事です。

私も、音楽を始めたときに、よく意味もわからないままソルフェージュを始めました。

しかしながら、今となっては、ソルフェージュをやっておいて本当に良かったと思っています。

なぜなら、ソルフェージュをやっているかどうかで、音を聴きとったり、楽譜を読んだりといった音楽の基礎的な能力の伸びが全然違うからです。

本記事では、ソルフェージュとは何か(意味)、どのように行うのか(やり方)、何が得られるのか(効果)などについて、自身のソルフェージュ体験談なども交えながらできるだけわかりやすく解説していきます。

ソルフェージュの意味とは|何のためにするのか?

ソルフェージュでは、演奏された音を聴き取って五線に書いたり、楽譜を見ながらメロディをドレミで歌ったりしながら、音楽の基礎となる部分を鍛えていきます

ソルフェージュは、スポーツの基礎トレーニングに例えられます。

スポーツでは、そのスポーツ専門の技術以外にランニングや筋トレなどの基礎トレーニングが必要です。

そして、音楽も同様に、ピアノなどの楽器を弾く技術以外に、音楽の基礎力を養うトレーニングが必要なのです。

この、音楽の基礎力を養うトレーニングが、ソルフェージュなのです。

ソルフェージュをしたからといってピアノやバイオリンなどがすぐに弾けるようになるわけではありません。

しかしながら、何の楽器をやるにせよ、ソルフェージュをしているかどうかで、その後の音楽的能力やパフォーマンスには圧倒的な差が生まれてしまいます

ソルフェージュをせずに音楽をやるということは、基礎トレーニングをせずに技だけを磨くようなものです。

膨大な時間をかければ難しい曲もある程度弾けるようになりますが、先にソルフェージュで音楽の基礎体力を養っておけば、後々は少ない労力で一曲一曲をものにしていくことができるようになります

音楽教室などでは、ピアノやバイオリンなどの楽器のレッスンだけでなく、ソルフェージュも一緒に受講することを勧められます。

それは、ソルフェージュを続けることで、音楽の基礎体力が養われることを先生方は身をもって知っているからなのです。

なので、ソルフェージュをやろうか迷っている方は、音楽を長く続けようと考えているのであれば、ソルフェージュも並行してやることを強くおすすめします。

ソルフェージュの具体的な内容は?

続いて、ソルフェージュとは具体的に何をするもので、どのような進め方をするのかについて見ていきます。

今回は、独学ではなく、先生に習う場合のソルフェージュについてです。

本稿では、大別して ①聴音ソルフェージュ、②視唱ソルフェージュ、③音楽理論の解説 の3つについて順を追って見ていきます。

聴音ソルフェージュ

ソルフェージュでは、先生の演奏を聴いて五線上に音符などの記号を書いていく「聴音」を行います。

聴音ソルフェージュでは、五線紙と呼ばれる、五線がたくさん書かれた紙を使います。以下の画像のようなもので、たいていはノート状に五線紙が束になった「五線ノート」を使用します。

五線紙

ソルフェージュでは、この五線紙の上に、音部記号(ト音記号・ヘ音記号など)や拍子記号(例:3/4拍子など)、音符などを演奏を聴きながら記入していき、楽譜を完成させていきます。

以下は、過去に私が聴音ソルフェージュで書き上げた楽譜の見本です。

聴音ソルフェージュの見本画像

実際に五線紙に記号を書いているときには、実に様々なことを頭の中で考えます。

たとえば、音符はドレミファソラシドの何の音か(音の高さ)、その音は何拍か(音の長さ)、臨時記号がついていそうだ、この部分は調が変わっている(音の機能)、などです。

このように、聴いた音を自分の頭というフィルターを通して楽譜にすることで、楽譜上の記号と実際の音やフレーズが頭の中で結びついていきます。これこそが、ソルフェージュの本質なのです。

基本的に、ソルフェージュのメロディは、先生がピアノなどを使用して演奏します。

私が習っているソルフェージュの先生は、通奏→いくつかに分けて部分演奏(複数回)→確認の通奏→自信がない部分の部分演奏→答え合わせという順で聴音を行います。

答え合わせの段階では、間違っている部分などに、楽典的な考え方などと絡めながら解説が入ります。

また、聴音を行った後には、自分が書いた楽譜を見ながら次に紹介する視唱を行います。

視唱ソルフェージュ

楽譜を見ながら、書かれた音符を実際に声に出して歌う「視唱」も、ソルフェージュには欠かせないトレーニングです。

視唱ソルフェージュでは、楽譜を見ながら書かれている記号をドレミで歌います。

国や地域によって、各音には「ドレミファソラシド」「CDEFGAHC」「ハニホヘトイロハ」など、様々な呼び方があります。

しかしながら、ほとんどの場合、ソルフェージュでは音として口ずさみやすい「ドレミファソラシド」で歌います

このようなソルフェージュの音の呼び方は、英語で”Solfege syllables”と呼ばれています。

syllableには「音節」という意味の他に、「階名」を指すこともあり、ここでは「ソルフェージュ階名」と訳すのが自然でしょう。

少し話がそれますが、ソルフェージュで歌う際には、音名に基づいて歌う「固定ド(唱法)」と、階名に基づいて歌う「移動ド(唱法)」の、2種類の歌い方があります。

「固定ド(唱法)」と「移動ド(唱法)」について知りたい方は、こちらの記事もあわせてご参照ください。

話を戻しますが、視唱には、大きく分けて ①「聴音で書いた楽譜を見て歌う」、②「初見の曲を歌う」 の2つのスタイルがあります。

①の「聴音で書いた楽譜を見て歌う」は、文字通り、上で紹介した「聴音」で聴き取ってつくりあげた楽譜を見ながらドレミで歌います。

基本的には、先生が伴奏をつけてくださるので、それに合わせて歌っていきます。

自分で書いた楽譜であるのに、楽譜を見ながら歌うというのは意外とむずかしいものです。

それぞれの音符が何拍であるかを見極めたり、先の音は何の音であるのかを先読みしたりする必要があります。

また、歌う時の楽器は自分の声ですから、自分で音符の示す音の高さに声の高さを合わせなければなりません。

となり合う音同士くらいならまだなんとかなりますが、音が飛んだり、臨時記号が入ったりすると難易度が高くなります。

続いて、②の「初見の曲を歌う」は、その場で見たことのない楽譜を渡されて、それを見ながら初見で歌います。

このような方法は「新曲視唱」と呼ばれ、音大の入試科目の1つにもなっています。

新曲視唱のやり方ですが、まず、初めて見る楽譜が先生より渡されます。

受け取ったら、少しだけ確認の時間が与えられます。曲の全体像や展開を短い時間の中で確認しなければなりません。

確認の時間が終わると、いよいよ歌い始めます。聴音したものを視唱するのに比べて、メロディを聞いたことがない分、難易度が高くなります。

聴音した楽曲にせよ新曲にせよ、視唱をする際には、歌っている部分の少し先を先読みしながら歌うことが、うまく歌うための1つのポイントです。

また、視唱したものは、一度歌っただけではまだ体で覚えていないのが普通です。そのため、スポーツで言う素振りと同じように、何度も譜面を見ながら自分で歌うことで、体に覚えさせることが重要になります。

目で見て反射的に歌えるくらい反復することで、読譜力や初見力といった演奏に必要な力を効果的に高めることができます。

音楽理論の解説

ソルフェージュでは、音楽理論(楽典)について学びます。正確には、聴音や視唱をしながら、音楽理論に基づいた解説が入ります。

例えば、聴音をしていて、ある3つの連続する音のうちの2つ目の音を間違えていたことがあります。

これを、ただ「あの音はファだったのか」のように音の違いを意識するだけで終わってしまうと、もったいないです。

このような時には、先生が「この3つの音はファラドの和音を形成しているから、真ん中の音はラになります」といった、楽典的な解説をしてくださいます。

ただ音を聞き取るだけでなく、フレーズや調の中での音の意味などと絡めた説明を受けると、論理的に納得できますし、次回以降に応用が利きます。

また、音を聞いたり楽譜を読んだりしながら、各部分が音楽理論的にどうなっているのかを確認することで、単に知っているだけでなく使いこなすことができるようになるのです。

このような理由から、楽典をただ本を読むなどして学ぶだけでなく、ソルフェージュなどで実際の音楽と関連させながら音楽理論について思考し、使える音楽理論へと昇華させていくことが重要なのです。

ソルフェージュの効果は?

最後に、ソルフェージュにはどのような効果があるのかを確認していきましょう。

聴音や視唱などのソルフェージュを繰り返すことによって、音楽に必要な様々な能力が身につきます。

ここでは、ソルフェージュで身につく能力を、①音楽感覚、②音楽理論、③聴音能力、④読譜・視唱能力 の4つに分けてご紹介します。

音楽感覚

ソルフェージュ持つ効果として、「音楽感覚」が養われることが挙げられます。

「音楽感覚」は、文字通り音楽的な感覚のことを指しますが、これには以下のようなものが含まれます。

音楽感覚の例
  • 音感ー音の高さ(ドレミファソラシドや臨時記号♯♭など)や音の長さ(四分音符、八分休符 など)、音の強弱などを聴いて識別できる能力。
  • 拍感やリズム感ー拍(小節の中の強い部分と弱い部分)やリズム(音の長短やその変化)を判別できる能力。
  • 和声感やフレーズ感ー和声(複数の音が組み合わさってできる響き)やフレーズ(一つひとつの音ではなく意味のあるかたまり)をとらえる能力。

このような音楽的な感覚は、いくら楽典の本などを読んでも身につけることはできません。

音楽感覚は、実際の音楽に触れながら行うソルフェージュによってこそ、培われるものなのです。

音楽理論

ソルフェージュをすることによって、音楽理論も身につきます。

たとえば、3/4拍子や2/4拍子など、小節内に入る音符の長さや数などを意識することによって、拍子というものが理解できるようになります。

また、臨時記号(♯や♭)のないハ長調を聴音することから始め、平行調で調合のないイ短調の曲や、臨時記号の一つ増えたト長調などに段階的にステップアップしていくことで、調に対する理解も深まってきます。

これらは身につく音楽理論の一部に過ぎませんが、このように実際の曲に触れながらそれらは理論的にどうなっているのかを考えることによって、知識と知っている音楽理論が実際の音楽と結びついて理解できるようになります。

聴音能力

ソルフェージュの訓練を積み重ねることによって、聴音能力を高めることができます。

ここで言う聴音能力とは、曲を聴いて、それを楽譜に起こしたり曲として演奏する能力と考えてください。

音感との違いは、音感は音を聴いて識別できる能力であるのに対して、聴音能力はそこからさらに踏み込んで、聴いたものを実際に活用できる能力でがあるということです。

ソルフェージュを始める前は音楽を聴いても得られる情報は多くありません。

しかしながら、ソルフェージュを続けることによって、音の高さや調の変化、複音、和音など曲からたくさんの情報を読み取り、識別して記号化することができるようになります

たとえば、音楽を聴いてそれを楽譜や演奏で再現する「耳コピ」と呼ばれる能力がありますが、「耳コピ」は、ソルフェージュ能力を高めた先で獲得できる能力です。

つまり、ソルフェージュを続けた先には、演奏された曲を自分で活用することができる能力を身につけることができるのです。

読譜・視唱能力

ソルフェージュを継続することの効果として、楽譜を読み取る力がどんどん上がっていくことが挙げられます。

音楽を始めたばかりのころは、楽譜を読むのにとても時間がかかります。

ある音符の音の高さをわかる音符から順に数えないとわからなかったり、音符の種類が違っても音の長さがすぐに出てこなかったりします。

しかしながら、ソルフェージュを続けることによって、音の高さや長さ、曲の変化などを一歩一歩止まって考えなくても、感覚的に瞬時に読み取ることができるようになります

ソルフェージュによって楽譜を読む力をつければ、楽譜を読みながら演奏したり、初見演奏をしたりできるようになります。

また、楽譜を読んでそれをメロディとして歌う力もどんどん向上していきます。

ピアノなどの音を聴かなくても自分で正しい音の高さで歌ったり、楽譜を見ながら正しいリズムで歌ったりできるようになります。

歌うといっても、実際に声に出して歌うだけではなく、楽譜を見ながら心の中で音楽を奏でることができるようになります

たとえば、音楽マンガなどではよく楽譜を見ながら指を動かしている演奏者の姿が描かれます。あのような場面では、楽譜を見ながら心の中で実際に音楽を演奏しているのです。

私も、電車での移動中など、音楽の本や楽譜などを見ながら心の中で曲を演奏しながら、楽器なしで音楽学習を進めることができるようになってきました。

このように、ソルフェージュを続けることによって、楽譜を瞬時に読み取り、発音の有無にかかわらず自分でメロディを奏でることができるようになるのです。

ソルフェージュで音楽の総合的な基礎力を養おう

ソルフェージュの意味に関する解説は以上です。最後に本記事をまとめていますので、ご確認ください。

ソルフェージュとは、

  • 音を聴き取ること(聴音)
  • 楽譜を見て歌うこと(視唱)

といった音楽的な演習を行うことによって、

  • 音楽感覚
  • 音楽理論
  • 聴音能力
  • 読譜・視唱能力

などの音楽の土台となる能力を養っていくトレーニングのこと。

音楽には、音の高さや記号など、様々な決まりごとがあります。

それらは、ソルフェージュのような実際の音楽を用いたトレーニングを行うことによってのみ、感覚として体得することができるのです。

言い換えれば、ソルフェージュとは、音楽理論を感覚として身につけるためのトレーニングであると表現することができます。

どんなトレーニングでもそうですが、「知っている」を「わかる」→「できる」にしていくことが最終的な目的です

ソルフェージュのレッスンなどを受けることによって、なんとなく知識として「知っている」音楽の決まりごとを、体の感覚で「わかる」ようになります。

そして、それらが何も考えなくても無意識的に「できる」ようになるためには、反復して体で覚えることが何よりも重要です。

そのため、ソルフェージュで理解する→学んだ曲を歌ったり演奏したりアウトプットを繰り返すというサイクルを意識的に取り入れることによって、音楽的感覚を効率よく身につけていきましょう♪

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