ソルフェージュ各論

ソルフェージュの授業の内容は?音大の例を中心に

ソルフェージュの授業イメージ画像

今回は、音大のソルフェージュの授業の特徴や具体的な内容などを芸大などの例を見ながら確認していきます。

ソルフェージュとは、音楽の総合的な基礎能力を高めるためのトレーニングのことです。

ソルフェージュは、音大などの大学入試で使われるだけでく、音大に入学した後にも継続的に授業で習うことになります。

そんな、音大のソルフェージュの授業とは具体的に何をするのでしょうか?

今回は、音楽家なら誰もが憧れる東京藝術大学(芸大)や、私立の昭和音楽大学の例を見ながら、音大のソルフェージュの授業内容にせまっていきたいと思います。

音大のソルフェージュの授業のスタイルは?

まずは音大のソルフェージュの授業のスタイルについて見ていきましょう。

音大のソルフェージュの授業は、以下の2つのような特徴を持っています。

  • 基本と応用に分かれている
  • グループ授業である

これらの特徴について具体的に見ていきましょう。

基本と応用に分かれている

音大のソルフェージュの授業は、多くの場合、基本的なソルフェージュと応用的なソルフェージュに分かれています。

基本のソルフェージュでは、聴音や視唱など、ソルフェージュの中でも基本的なトレーニングを中心に行います。

一方で、応用のソルフェージュでは、聴音や視唱にとどまらず、楽曲分析や鍵盤を用いた初見奏や伴奏づけなど、より広範囲のトレーニングを行います。

グループ授業である

また、音大のソルフェージュの授業は基本的に個人ではなくグループで行います。

目的やレベルなどによってグループが振り分けられ、半期~通期を通して同じグループで少しずつ上のレベルの内容に進んでいくのが一般的です。

たとえば、私立の昭和音楽大学では、新学期開始直後にソルフェージュのレベルチェックテストを受け、その結果によって受講できる授業とクラスが異なってきます。

ソルフェージュの授業内容は?|基本編

音大のソルフェージュの授業の基本的なスタイルを確認したところで、続いては、ソルフェージュの基本編の授業内容について詳しく見ていきましょう。

今回は、音大の最高峰に位置する国立の東京藝術大学と、私立の昭和音楽大学の例を見ながら確認していきます。

東京藝術大学(芸大)の基本ソルフェージュ

まずは、東京藝術大学(芸大)の基本のソルフェージュの内容を見てみましょう。

以下は、東京芸術大学のシラバスより抜粋したものです。

ソルフェージュ(基礎)[前期]
能力別グレード制クラスにより聴音、視唱、リズム、クレ読み、理論の5種を柱に訓練を行い、音楽家としての基礎能力を習得することを目的とする。統一問題による学期末試験結果により「基礎」の修了を認定されると、次の段階「展開」へ進む。

上記シラバスから、聴音や視唱、理論などの、ソルフェージュのコアとなる部分を重点的に鍛えていく授業内容であることがわかります。

実際に、各授業計画の内容も、高音部譜表の読譜からリズム打ち、聴音、視唱といった内容で組み立てられています。

昭和音楽大学の基本ソルフェージュ

続いて、昭和音楽大学の基本のソルフェージュの内容を見てみましょう。

以下は、昭和音楽大学のシラバスより抜粋したものです。

基本ソルフェージュ①[通年]
音楽に関わる上で音を聴く、書き取る、表現するなどの基礎的能力は欠かすことのできないものである。一方において、これらの能力には相互に関連があり、ひとつひとつばらばらに切り離して考えることはできない。この授業では、これらの能力を初歩から総合的に養い、互いに結びつけながら開発して着実に身につけることを目的とする。基礎的な読譜能力の養成から簡易な書き取り、視唱を複数クラスに分けて行う。

こちらも、読譜や簡単な聴音、視唱などの授業内容であることがわかります。

そして、授業計画も、楽譜の書き方から始まり、調の理解やリズム打ち、簡単な視唱といった内容で構成されています。

芸大の基本ソルフェージュを比較的優しくゆっくりにした内容、といった印象を受けます。

東京藝術大学や昭和音楽大学の例から、音大の基本ソルフェージュの授業は、以下のようにまとめることができます。

音大の基本ソルフェージュの授業内容は、読譜、リズム練習、聴音、視唱、理論など、音楽活動において不可欠な基礎的能力の完成を目指すものである。

ソルフェージュの授業内容は?|応用編

音大の基本ソルフェージュの授業内容を確認したので、次はソルフェージュの応用編の授業内容について詳しく見ていきましょう。

基本編と同様に、東京藝術大学と、昭和音楽大学の例で確認していきます。

東京藝術大学(芸大)の応用ソルフェージュ

基本編と同様、まずは東京藝術大学の応用ソルフェージュの内容を見てみましょう。

以下は、東京藝術大学のシラバスを抜粋したものです。

ソルフェージュ(展開)[前期]
応用ソルフェージュ(「ソルフェージュ 基礎」を修了した学生を対象とし、より高度、かつ汎用なソルフェージュ)、器楽ソルフェージュ(楽器による聴音、初見奏等)、声楽ソルフェージュ(視唱を中心としたソルフェージュ)、鍵盤ソルフェージュ(ピアノ視奏法を中心としたソルフェージュ)の4種類のクラスがあり、それぞれ統一された理念と方向性をもった授業計画に従って授業が行われる。また全クラス共、理論の学習が課せられ、上記専門実技に直結したソルフェージュの実技と共に総合的な読譜力を身につける。

東京藝術大学のソルフェージュの応用編は、より総合的な力を養う「応用ソルフェージュ」、器楽のための「器楽ソルフェージュ」、声楽のための「声楽ソルフェージュ」、鍵盤楽器のための「鍵盤ソルフェージュ」に分かれています。

基本ソルフェージュを終えた後は、自分の専攻などに必要なソルフェージュを選択し、より応用的な力を磨いていく、というスタイルです。

「応用ソルフェージュ」は、和声やリズム練習、聴音、視唱など、「ソルフェージュ(基礎)」を発展させた授業内容になっています。

「器楽ソルフェージュ」は、リズム練習や理論に加えて、ヴァイオリン・チェロ・フルート・オーボエなど弦楽器・管楽器・打楽器のそれぞれの楽器について広く学んで行くことが特徴です。

「声楽ソルフェージュ」は視唱を中心とする授業ですが、古典派・教会旋法・バロックなどを学びつつ、イントネーションでは2声・3声・ポリフォニーとどんどん声部が増え得ていきます。

「鍵盤ソルフェージュ」は、初見奏や記憶奏、移調など、鍵盤楽器の演奏において必要な技法を深く学んで行きます。

やはり、応用編は科目が分けられているだけあって、それぞれ内容や養われる能力が異なっていることがわかります。

昭和音楽大学の応用ソルフェージュ

続いては、昭和音楽大学の応用ソルフェージュの授業について見てみましょう。

東京藝術大学の「ソルフェージュ(展開)」と違い、応用ソルフェージュとして1つのシラバスにまとまっているわけではなく、それぞれの科目に分かれたシラバスがあります。

以下は、それぞれ昭和音楽大学のシラバスより抜粋したものです。

総合ソルフェージュ①[通年]
20世紀後半に確立された「フォルマシオン・ミュジカル(FORMATION MUSICALE)」は、音楽表現を向上させるために総合的にソルフェージュを学ぶ音楽教育方法である。その精神に基づき、様々な時代の有名な作曲家の名曲を題材として選び、①聴き取り②音読③楽典④楽曲分析⑤作曲家と時代背景など、多彩な内容を修得する。

聴音・視唱ソルフェージュ①[通年]
演奏や創作能力などを向上させるにはソルフェージュによる訓練は必要不可欠である。リズム感、フレーズ感、和声感、聴取感など、音楽を表現するための基礎となる能力を養うことがソルフェージュを学ぶ目的である。この授業では聴音と視唱の訓練により、ソルフェージュ能力を養成する。

鍵盤ソルフェージュ①[通年]
ひきうたい、伴奏づけ、移調奏などを鍵盤上で学修する。主要三和音を中心に、借用和音(副属七の和音)を学修する。授業はコードネームと和音記号で行う。ここでのひきうたいとは「両手による開離位置での伴奏づけを中心としたもの」を指し、伴奏づけとは「メロディーへの密集位置での伴奏づけ」を指す。移調奏なども年間を通じて積極的に行う。

昭和音楽大学のソルフェージュの応用編は、より幅広い力を養成する「総合ソルフェージュ」と、聴音と視唱に特化して深堀りする「聴音・視唱ソルフェージュ」と、鍵盤を用いたトレーニングを行う「鍵盤ソルフェージュ」の3つの授業に分かれています。

「総合ソルフェージュ」は、フォルマシオン・ミュジカルの考え方に則り、実際の名曲を題材にしながら、多声部の聴音・和音・移調など幅広い音楽教養を身につける授業内容になっています。

「聴音・視唱ソルフェージュ」では、拍子・声部の数・音域などをどんどん広げていきながら、ソルフェージュの根幹をなす聴音・視唱の力をさらに深く伸ばしていきます。

「鍵盤ソルフェージュ」では、鍵盤を用いて、ひきうたい・伴奏づけ・移調奏などの高度な技能を養っていきます。

昭和音楽大学でも、応用編になると目的や養われる専門性がそれぞれ異なっていることがわかります。

以上を踏まえると、音大の応用的なソルフェージュの授業内容については、以下のようにまとめることができます。

音大の応用ソルフェージュの授業は、基本ソルフェージュで養われた聴音・視唱・理論などの技能を展開し、フォルマシオン・ミュジカルの考え方に基づいて幅広く総合的な能力を伸ばすものや、鍵盤との親和性が高い技能を習得するもの、声楽的な表現力を伸ばすものなど、目的別に分かれてそれぞれの専門性の深化を目指す内容で構成されている。

ソルフェージュの授業の履修は計画的に

以上のように、音大のソルフェージュの授業は、基本レベルのソルフェージュをマスターしてから応用編に移るのが一般的です。

応用編も積み上げ式になっていることもあるので、計画的に履修しておく必要があります。

中には、なかなかソルフェージュの基本が身につけることができず、応用ソルフェ―ジュの授業を履修する資格が得られない学生も散見されます。

受験時、そして入学後もソルフェージュのトレーニングをきちんと継続して行い、よりレベルの高いソルフェージュを修めることによって、音楽性を総合的に高めていきましょう!

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