鍵盤楽器

ピアノが黒い理由|ピアノの外観はなぜ黒いのか

ピアノが黒い理由イメージ画像

「ピアノといえば黒いもの」と誰しも思うのではないでしょうか。

白いピアノやX JAPANのYOSHIKIがステージで演奏する際に使用するクリスタルグランドピアノ(カワイ製)というのもありますが…。

そもそも、なぜピアノは黒いのでしょうか?

鍵盤楽器の色の歴史と共に紐解いていきましょう。

ピアノ以前の楽器は黒いのか|チェンバロの場合

その前に、ピアノが発明される以前に使用されていた鍵盤楽器は果たして黒いのでしょうか?

歴史のある鍵盤楽器、チェンバロの外装について言及しておきましょう。

チェンバロは貴族にとって高価な調度品、美術品といった側面も持ち合わせていました。

そのため、金箔を施したり、有名画家に蓋の内側や外側を描いてもらったり、美しく装飾されています。

巨匠ルーベンスや彼の弟子により装飾されたチェンバロが、今でも各地の楽器博物館に残っています。

イタリアンチェンバロは、楽器全体は木地そのもので、それと別に用意した楽器の形の豪華なケースに収納するタイプが基本でした。

後に、見かけはケースに入れた状態の形に見えるけれども、実はケースと一体になったタイプが作られました。

フレミッシュチェンバロと言えばリュッカース工房が有名ですが、リュッカースでは内張りに手摺りの木版による装飾パターン(フレミッシュ・ペーパー)、響板上の花模様装飾、大理石模様の外装、蓋裏のラテン語の格言といった装飾が特徴的です。

フレンチチェンバロでは、金箔装飾バンドによる典型的なシノワズリー装飾、陶磁器や漆器を思わせる装飾もあります。当時の東洋趣味が反映されているのでしょうね。

つまり、ピアノ以前の鍵盤楽器は、現在の黒いというイメージからは程遠かったのです。

ピアノはもともとは黒いボディではなかった

では、ピアノは最初から黒い見た目をしていたのでしょうか?

実は、ピアノは始めから黒かったわけではありません。

チェンバロの後にはピアノが発明され、ブルジョアの台頭とともに発展していきます。

ところが、初期のピアノは木目にニスを塗ったものが主流であり、黒い外観ではありませんでした。

ヴァイオリンやギターのことを考えれば、それが当たり前ですね。

日本へ初めてピアノが持ち込まれたのは、江戸時代も終わりに近い1823年(文政6年)のこと。持ち込んだのはかの有名なシーボルトです。

そのとき持ち込まれたのは「スクエア・ピアノ」というテーブルのような形をしたピアノですが、マホガニーで作られた木目の楽器だったそうです。

つまり、初期のピアノは、現在のような黒いボディではなかったのです。

それから、どのような歴史を経て、ピアノは現在の黒い見た目になったのでしょうか?

なぜピアノは黒い外装になったのか?その理由は?

ピアノが黒い見た目になったのは、明治時代に入ってからです。

明治時代に入り、やがて日本でもピアノが作られるようになりました。

初期の黒塗りのピアノには漆が使われていたそうです。

その理由として、次のように考えられます。

①湿気の多い日本の気候からピアノを守るため、防湿として施した。
②漆を塗ることで高級感を演出した。

ヨーロッパでは調度品のひとつでも、日本ではピアノはステイタスの象徴。

そういう意味では、他の家具の中に溶け込んでしまう木目よりも、つややかな黒いボディの方がインパクト大だし、重厚感があります。

その後、日本の塗料会社であるカシュー株式会社が、カシューナッツを原料に、画期的な塗料を開発しました。

これにより、いわば逆輸入のような形で、高価な漆に代わり世界中のピアノの塗装に使われるようになりました。

また、ピアノの外観が黒い理由には、以下のような利点も考えられます。

③演奏者が引き立つ。

黒には心理的に、額縁効果、有彩色をもっとも引き立たせる効果、落ち着きや威厳、高級感、モダンな雰囲気を加える効果があるそうです。

つまり、ピアノの黒い外観が、演奏者の色彩を引き立たせ、落ち着きや高級感を演出していたのですね。

現在は石油化学の発達により、ポリエステルやポリウレタンがピアノの外装に使われています。

やっぱり黒いピアノを選ぶ理由

日本でもローズウッド、ウォルナット、チーク、ミンディー、オーク、マホガニーなど化粧材で仕上げたピアノを発売してきましたが、やはり黒いピアノが圧倒的なシェアを誇っています。

もう一つ、黒いピアノが選ばれる理由としては、以下が考えられます。

④木目ピアノよりも黒いピアノのほうが安い。

木目ピアノは薄く削いだ木目の板を表面に貼り付けなければならず、木目模様を合わせなければならないので、それだけ手間がかかります。

しかし、黒いピアノではその必要がなく、塗料も安くなったことから、同じ作りのピアノならば黒いピアノのほうが価格を安くできるわけです。

黒いピアノが売れる→たくさん売れるから価格も安くできる、という面もあるでしょう。

ただし、昭和30年のはじめ頃までは、日本でもピアノは木目で仕上げてから黒い塗装を施していたそうです。

余談ですが、昭和40~50年代のヤマハピアノは材質的にいいものを使っているという話がありますね。

意外と知らないピアノのいろいろ、ご興味のある方は《ピアノはなぜ黒いのか》(斎藤信哉著・幻冬舎新書)をどうぞ。

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