長音階と短音階

短音階とは?意味と種類│自然短音階・和声短音階・旋律短音階の違い

短音階のイメージ画像

短音階の意味や、自然短音階・和声短音階・旋律短音階の違いと3種類ある理由が、100%理解できる記事です!

【短音階】
短音階とは、「ド ド♯(レ♭) レ レ♯(ミ♭) ミ ファ ファ(ソ♭) ソ ソ(ラ♭) ラ ラ(シ♭) シ」の12の楽音のうち、主音(=曲の主役となる音)と、その音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」の順で進んだ7種類の音を並べたもののこと。この形を特に「自然短音階」と呼ぶ。

自然短音階にない「導音」を組み込むために、第7音を半音上げたものを「和声短音階」と呼ぶ

和声短音階の、第6音と第7音の全音+半音(=増2度)という距離の大きさを調整するために、第6音も半音上げたものを「旋律短音階」と呼ぶ

このページでは、「短音階」の意味と、「自然短音階」「和声短音階」「旋律短音階」それぞれの違いと、なぜ3種類の短音階に分かれているのかを確認していきます。

短音階とは?意味をわかりやすく簡単に

短音階は、長音階と並んで、「音階」の一種です。そのため、短音階を理解するためには、音階について理解しておく必要があります。

「音階」とは、ある音から1オクターブ上の同じ名前の音(例:”ド”と1オクターブ高い”ド”)までの間にある、「ド ド♯(レ♭) レ レ♯(ミ♭) ミ ファ ファ(ソ♭) ソ ソ(ラ♭) ラ ラ(シ♭) シ」の12種類の音のうちのいくつかの音を、あるルールに従って並べたもののことを言います。

まず前提として、西洋音楽で使用される楽音は、「ド ド♯(レ♭) レ レ♯(ミ♭) ミ ファ ファ(ソ♭) ソ ソ(ラ♭) ラ ラ(シ♭) シ」の12種類があります

 

12種類の音の画像

そして、それらがすべて同じように調和するわけではありません。

そのため、12の楽音のうちからいくつかの音だけをピックアップし、それらの音を中心に楽曲をつくっているのです。

この時、曲のメインとなる音(=主音)と、それらと調和する音を音の高さが低い順に並べたものを「音階」と呼ぶのです。

そして、「短音階」は音階の一種です。短音階とは、主音(=曲の主役となる音)と、その音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」の順で進んだ7種類の音を並べたもののことです。

半音とは、12の楽音のとなり合う音同士の距離のことです。全音は、半音2つ分の距離のことです。

全音と半音の画像

言い換えると、短音階とは、主音から「2・1・2・2・1・2・2」ずつ進んだ音の配列と言うこともできます。以下の図のような配列です。

自然短音階の音の配列

しかしながら、この短音階の配列はあくまでも短音階の基本の形です。短音階にはいくつかの種類があります。

次章では、短音階の種類と、複数ある理由について確認していきましょう。

短音階の種類|自然短音階・和声短音階・旋律短音階

ここまで単純に「短音階」という言葉を使用してきましたが、実は、短音階には3つの種類があります。それぞれ、「自然短音階」「和声短音階」「旋律短音階」と呼ばれます。

本章では、「自然短音階」「和声短音階」「旋律短音階」の特徴や違いについて確認していきましょう。

自然短音階とは|短音階の基本の形

先ほど短音階は、主音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」ずつ進んだものを並べたものであると説明しました。

この、「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」という並びを持つ短音階のことを、特に「自然短音階」と呼びます

調号(♯や♭)のつかない、「ラ」を主音とするイ短調の例を見てみましょう。

イ短調の音階

「ラ シ ド レ ミ ファ ソ ラ」は、音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」ずつ進んだ自然短音階の形になっています。

自然短音階は、様々な短音階の基となる音階です。自然短音階の一部に変更を加えると、「和声短音階」や「旋律短音階」になります。

和声短音階とは|「導音」をつくり出すために

続いて、「和声短音階」または「和声的短音階」について見ていきましょう。

自然短音階の並びは、主音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」という順序でした。そして、自然短音階の7つ目の音を半音上げたものを「和声短音階」といいます

7つ目の音を半音上げるので、「和声短音階」は主音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音+半音・半音」という順序で配列されます。全音+半音は、増2度と言い換えることができます。

「ラ」を主音とした和声短音階の例を確認してみましょう。

和声短音階の画像

先ほどの自然短音階と異なり、第7音が半音上がって「ソ♯」になっています。そのため、「ラ」を主音とする和声短音階は、「ラ シ ド レ ミ ファ ソ♯ ラ」という並びになります。

なぜこのような変化が見られるのでしょうか。その理由は、「導音」の有無にあります。

長音階は、主音から「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」という配列でした。この時、7番目の音は主音までの距離は、半音です。

この半音の距離の音は、主音に向かって上行することで調和する音であるため、「導音」と呼ばれます。「導音」は、音楽をつくるうえで欠かせない要素です。

しかしながら、「自然短音階」の第7音と主音との距離は、「全音」です。距離が全音ではなく半音だと、和声的には主音に向かっていく性質を持ちません。

そこで、第7音を半音上げることで、「導音」の機能を持つ音をつくり出しているのです。

和声短音階の特徴は、第7音が半音上がっているため、第6音と第7音の距離が全音+半音(=増2度)分の距離になっていることです。

音階にあまり登場することのない増2度の音程がつくる音階は、他の音階にはない独特の響きを持っています。

私は、和声短音階の響きを聴くと、アラビアのイメージが浮かんできます。

旋律短音階とは|より自然なメロディに

3つ目の短音階は、「旋律短音階」または「旋律的短音階」と呼ばれるものです。

和声短音階は、自然短音階の第7音を半音上げ、主音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音+半音・半音」の順で並べたものでした。

自然短音階を和声短音階にすることで、「導音」の機能を持つ音が現れます。ところが、和声短音階では、第6音と第7音との距離が全音+半音(=増2度)にまで広がってしまいます。

増2度の音程は幅が広いため不自然さがあり、歌いづらくもなります。また、響きも他の音階より独特になります。

そのため、より自然で無理のない響きをつくるため、第6音も半音上げるということが行われました。この、自然短音階の第7音と第6音を半音上げた短音階を、「旋律短音階」と呼ぶのです。

第6音と第7音をそれぞれ半音上行させるため、旋律短音階は「全音・半音・全音・全音・全音・全音・半音」という順序の並びになります

他の短音階と同様に、「ラ」を主音とする旋律短音階の例を確認しておきましょう。

旋律短音階の上行形

自然短音階と比較して、第7音が半音上がり「ソ♯」になっています。さらに、第6音が半音上がり「ファ♯」になっています。

そのため、「ラ」を主音とする旋律短音階は、「ラ シ ド レ ミ ファ♯ ソ♯ ラ」という配列をつくります。

旋律短音階は、長音階と同様に導音を持っています。一つひとつの音の距離も大きくありません。

よく調和した音階をつくるため、短音階の楽曲のメロディ(=旋律)は、多くの場合旋律短音階に基づいてつくられます。これが、旋律短音階と呼ばれる所以なのです。

加えて、旋律短音階を考える際におさえておくべきポイントがもう1つあります。それは、上行形と下行形で形が変わるということです。

もう一度、和声短音階や旋律短音階で第7音が半音上げられる理由に立ち返ってみましょう。

短音階の第7音を半音上げるのは、自然短音階にない「導音」の機能を持つ音をつくり出すためでした。

導音は、主音に向かって上行していく性質を持っています。すなわち、導音がその機能を果たすのは、低い音から高い音へと上行していく場合に限られるのです。

そのため、高い音から低い音へと下降していく際には、導音が必要ありません。したがって、旋律短音階の下行形は、自然短音階の形が用いられるのです。

つまり、旋律短音階においては、上行するときは旋律短音階、下行するときは自然短音階と、状況に応じて2種類の短音階を使いわけるということです。

「ラ」を主音とする旋律短音階の下行形も画像で確認しておきましょう。

旋律短音階の下行形

短音階は3種類あって覚えるのが面倒なイメージがあります。しかしながら、なぜ複数の短音階が使い分けられているのか、その理由をおさえておくことで、無機質なものを丸暗記せずとも自然と覚えることができます。

以下に自然短音階・和声短音階・自然短音階の違いと背景にある理由をまとめておきますので、理屈もしっかりと理解しておきましょう。

【 自然短音階 】
主音(=曲の主役となる音)と、その音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」の順で進んだ7種類の音を並べたもののこと。

【 和声短音階 】
自然短音階にない「導音」を組み込むために、自然短音階の第7音を半音上げたもの。主音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音+半音(増2度)・半音」ずつ進んだ音階である。

【 旋律短音階 】
和声短音階の第6音と第7音の全音+半音(=増2度)という距離の大きさを調整するために、自然短音階の第7音だけでなく第6音も半音上げたもの。主音から「全音・半音・全音・全音・全音・全音・半音」ずつ進んだ音階である。

短音階の「短」は何が短いのか?長音階との違い

最後に、短音階には「短」という文字が入っていますが、何が短いのかを確認しておきましょう。

短音階という言葉があるからには、長音階という言葉あります。いったい、音階の何が短い・長いのでしょうか?

その答えは、音階の第2音と第3音の違いにあります。以下の図を見てください。

長音階と短音階の違い

図のように長音階と短音階を並べてみるとわかるのですが、長音階の第2音と第3音の距離は「全音」です。

それに対して、短音階の第2音と第3音の距離は「半音」なのです。

これはつまり、第2音と第3音の距離が、短音階と比較してと長音階の方が長く、長音階と比較して短音階の方が短い、ということです。

この、第2音と第3音の距離が、長音階と短音階の最も大きな違いです。

第2音と第3音との距離が長い(=全音)と、曲調が明るくなります。一方で、第2音と第3音との距離が短いと、曲調が物悲しくなるのです。

ここで鋭い方は、後半の並びも音の長さが違う!と思われたかもしれません。

しかしながら、短音階の後半の音の並びは、上の「自然短音階・和声短音階・旋律短音階」の箇所で触れたように、場合によって変化します。

そしてなんと、旋律短音階になると、後半は長音階と同じ並びになるのです。

そのため、長音階と短音階の違いで問題となるのは、第2音と第3音の距離だけなのです。

このように、長音階と短音階は、それぞれ何が「長」くて何が「短」いのかを知っておくことで、どんな音が主音であっても自然に違いがわかるようになります。

ぜひ、長音階と短音階の違いは「第2音と第3音の距離」であることをおさえておきましょう!

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