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短音階とは│自然短音階・和声短音階・旋律短音階の違い

短音階のイメージ画像

【短音階】
短音階とは、「ド ド♯(レ♭) レ レ♯(ミ♭) ミ ファ ファ(ソ♭) ソ ソ(ラ♭) ラ ラ(シ♭) シ」の12の楽音のうち、主音(=曲の主役となる音)と、その音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」の順で進んだ7種類の音を並べたもののこと。この形を特に「自然短音階」と呼ぶ。

自然短音階にない「導音」を組み込むために、第7音を半音上げたものを「和声短音階」と呼ぶ

和声短音階の、第6音と第7音の全音+半音(=増2度)という距離の大きさを調整するために、第6音も半音上げたものを「旋律短音階」と呼ぶ

本記事では、「短音階」の意味と、「自然短音階」「和声短音階」「旋律短音階」それぞれの違いと、なぜ3種類の短音階に分かれているのかを確認していきます。

短音階の意味

短音階は、長音階と並んで、「音階」の一種です。そのため、短音階を理解するためには、音階について理解しておく必要があります。

「音階」とは、ある音から1オクターブ上の同じ名前の音(例:”ド”と1オクターブ高い”ド”)までの間にある、「ド ド♯(レ♭) レ レ♯(ミ♭) ミ ファ ファ(ソ♭) ソ ソ(ラ♭) ラ ラ(シ♭) シ」の12の楽音(=音楽に使用される音)のうちのいくつかの音を、あるルールに従って並べたもののことを言います。

音階の詳細については、以下をご参照ください。

https://yamahacantabile.com/scale/

西洋音楽で使用される楽音は、「ド ド♯(レ♭) レ レ♯(ミ♭) ミ ファ ファ(ソ♭) ソ ソ(ラ♭) ラ ラ(シ♭) シ」の12種類がありますが、それらがすべて同じように調和するわけではありません

そのため、12の楽音のうちからいくつかの音だけをピックアップし、それらの音を中心に楽曲をつくっているのです。この時、曲のメインとなる音(=主音)と、それらと調和する音を音の高さが低い順に並べたものを「音階」と呼ぶのです。

そして、「短音階」は音階の一種です。短音階とは、主音(=曲の主役となる音)と、その音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」の順で進んだ7種類の音を並べたもののことです。

半音とは、12の楽音のとなり合う音同士の距離のことです。全音は、半音2つ分の距離のことです。

言い換えると、短音階とは、主音から「2・1・2・2・1・2・2」ずつ進んだ音の配列と言うこともできます。

しかしながら、この短音階の配列はあくまでも短音階の基本の形です。短音階にはいくつかの種類があります。

次章では、短音階の種類と、複数ある理由について確認していきましょう。

短音階の種類

ここまで単純に「短音階」という言葉を使用してきましたが、実は、短音階には3つの種類があります。それぞれ、「自然短音階」「和声短音階」「旋律短音階」と呼ばれます。

本章では、「自然短音階」「和声短音階」「旋律短音階」の特徴や違いについて確認していきましょう。

自然短音階

先ほど短音階は、主音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」ずつ進んだものを並べたものであると説明しました。

この、「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」という並びを持つ短音階のことを、特に「自然短音階」と呼びます

調号(♯や♭)のつかない、「ラ」を主音とするイ短調の例を見てみましょう。

イ短調の音階

「ラ シ ド レ ミ ファ ソ ラ」は、音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」ずつ進んだ自然短音階の形になっています。

自然短音階は、様々な短音階の基となる音階です。自然短音階の一部に変更を加えると、「和声短音階」や「旋律短音階」になります。

和声短音階

続いて、「和声短音階」または「和声的短音階」について見ていきましょう。

自然短音階の並びは、主音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」という順序でした。そして、自然短音階の7つ目の音を半音上げたものを「和声短音階」といいます

7つ目の音を半音上げるので、「和声短音階」は主音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音+半音・半音」という順序で配列されます。全音+半音は、増2度と言い換えることができます。

「ラ」を主音とした和声短音階の例を確認してみましょう。

和声短音階の画像

先ほどの自然短音階と異なり、第7音が半音上がって「ソ♯」になっています。そのため、「ラ」を主音とする和声短音階は、「ラ シ ド レ ミ ファ ソ♯ ラ」という並びになります。

なぜこのような変化が見られるのでしょうか。その理由は、「導音」の有無にあります。

長音階は、主音から「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」という配列でした。この時、7番目の音は主音までの距離は、半音です。

この半音の距離の音は、主音に向かって上行することで調和する音であるため、「導音」と呼ばれます。「導音」は、音楽をつくるうえで欠かせない要素です。

しかしながら、「自然短音階」の第7音と主音との距離は、「全音」です。距離が全音ではなく半音だと、和声的には主音に向かっていく性質を持ちません。

そこで、第7音を半音上げることで、「導音」の機能を持つ音をつくり出しているのです。

和声短音階の特徴は、第7音が半音上がっているため、第6音と第7音の距離が全音+半音(=増2度)分の距離になっていることです。

音階にあまり登場することのない増2度の音程がつくる音階は、他の音階にはない独特の響きを持っています。

私は、和声短音階の響きを聴くと、アラビアのイメージが浮かんできます。

旋律短音階

3つ目の短音階は、「旋律短音階」または「旋律的短音階」と呼ばれるものです。

和声短音階は、自然短音階の第7音を半音上げ、主音から「全音・半音・全音・全音・半音・全音+半音・半音」の順で並べたものでした。

自然短音階を和声短音階にすることで、「導音」の機能を持つ音が現れます。ところが、和声短音階では、第6音と第7音との距離が全音+半音(=増2度)にまで広がってしまいます。

増2度の音程は幅が広いため不自然さがあり、歌いづらくもなります。また、響きも他の音階より独特になります。

そのため、より自然で無理のない響きをつくるため、第6音も半音上げるということが行われました。この、自然短音階の第7音と第6音を半音上げた短音階を、「旋律短音階」と呼ぶのです。

第6音と第7音をそれぞれ半音上行させるため、旋律短音階は「全音・半音・全音・全音・全音・全音・半音」という順序の並びになります

他の短音階と同様に、「ラ」を主音とする旋律短音階の例を確認しておきましょう。

旋律短音階の上行形

自然短音階と比較して、第7音が半音上がり「ソ♯」になっています。さらに、第6音が半音上がり「ファ♯」になっています。

そのため、「ラ」を主音とする旋律短音階は、「ラ シ ド レ ミ ファ♯ ソ♯ ラ」という配列をつくります。

旋律短音階は、長音階と同様に導音を持っています。一つひとつの音の距離も大きくありません。

よく調和した音階をつくるため、短音階の楽曲のメロディ(=旋律)は、多くの場合旋律短音階に基づいてつくられます。これが、旋律短音階と呼ばれる所以なのです。

加えて、旋律短音階を考える際におさえておくべきポイントがもう1つあります。それは、上行形と下行形で形が変わるということです。

もう一度、和声短音階や旋律短音階で第7音が半音上げられる理由に立ち返ってみましょう。

短音階の第7音を半音上げるのは、自然短音階にない「導音」の機能を持つ音をつくり出すためでした。

導音は、主音に向かって上行していく性質を持っています。すなわち、導音がその機能を果たすのは、低い音から高い音へと上行していく場合に限られるのです。

そのため、高い音から低い音へと下降していく際には、導音が必要ありません。したがって、旋律短音階の下行形は、自然短音階の形が用いられるのです。

つまり、旋律短音階においては、上行するときは旋律短音階、下行するときは自然短音階と、状況に応じて2種類の短音階を使いわけるということです。

「ラ」を主音とする旋律短音階の下行形も画像で確認しておきましょう。

旋律短音階の下行形

短音階は3種類あって覚えるのが面倒なイメージがあります。しかしながら、なぜ複数の短音階が使い分けられているのか、その理由をおさえておくことで、無機質なものを丸暗記せずとも自然と覚えることができます。

ぜひ、ここまでで確認してきた、短音階の種類とその背景にある理由をしっかりと理解しておきましょう。

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