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クラリネット・マウスピースの選び方|試奏や選定品について

クラリネットマウスピースの選び方イメージ画像

クラリネットを演奏するあなたは、どのようなマウスピースを使っていますか?

借りた楽器についていたものをそのまま使っているという方も多いのではないでしょうか。

楽器本体を買うのはまだ先だとしても、直接口をつけるマウスピースは自分専用のものを購入するのがおすすめです。

また、マウスピースにはたくさんの種類があり、それぞれ音色や音程、吹き心地が違うので「早く上達したい」「自分に合ったものを探したい」と考える人にとっては、興味があるアイテムかもしれません。

本記事では、クラリネットマウスピースを選ぶに際して知っておきたい基礎知識を詳しく解説します。マウスピース購入前にぜひご確認ください。

クラリネットのマウスピース選び方|2つのポイント

マウスピースには様々な種類がありますが、どこに違いがあるのでしょうか。

クラリネットマウスピースを選ぶとき、注目しておきたいポイントは2つです。

・ティップ・オープニング(広さ)
・フェイシング(長さと角度)

同じリード楽器でもサックスマウスピースの場合は、上記2つのほかチェンバー(マウスピース全体の容積)やバッフル(息が通る部分の容積)の組み合わせとバランスが特に重要とされています。

一方で、クラリネットの場合は、チェンバーやバッフルについて話題になることはほとんどありません。

そのため、今回はマウスピース選びのポイントを、ティップ・オープニングとフェイシング2点に絞って、詳しく説明していきます。

クラリネットマウスピース選び方①|ティップ・オープニング

クラリネットのマウスピース選びの1つ目のポイントは、「ティップ・オープニング」です

ティップ・オープニング(オープニング、開きとも言います)とは、マウスピースにリードをセットした時、両者に生じる隙間のことです

この隙間に息が入り、その圧力でリードが振動します。隙間の広さによってリードが振動する幅が変わるので、音色や吹き心地が違うのです。

それでは、具体的にどんな違いがあるのでしょうか。確認していきましょう。

オープニングが大きい(広い)マウスピースの特徴

  • リードの振動する幅が広く、音量を出しやすい
  • コントロールするのには技術が必要、疲れやすい
  • コントロールの幅が広いので、音色に変化をつけやすい
  • 音色は太く、柔らかめ
  • 柔らかい(振動しやすい)リードとの相性が良い ※1

オープニングが小さい(狭い)マウスピースの特徴

  • リードの振動する幅が狭く、コンパクトなサウンド
  • コントロールがしやすく ※2、疲れにくい
  • コントロールの幅が狭いので、安定した音で吹ける
  • 音色は明るく、はっきりしている
  • 硬い(振動が抑えられた)リードとの相性が良い ※1

※1 リードの柔らかさ、硬さ
・柔らかいリード→ソフト、ミディアムソフト、番号では2、2.5程度
・中間→ミディアム、番号では3程度
・硬いリード→ミディアムハード、ハード、番号では3.5以上

※2 コントロールのしやすさ
・(クラリネットの場合、苦手意識を持つ方が多い)高音域が出しやすい
・タンギングがしやすい
・音程が取りやすい
・楽に吹ける

オープニングで最も違いがわかるのは音量ですオープニングが狭いと繊細なピアニシモが、広いと力強いフォルテシモを出しやすい傾向があります

「オープニングが大きい=上級者」とは限らない

ここで注意しておきたいのが「上級者ほどオープニングが大きいマウスピースを使う」という誤解です。

確かにプロ奏者が使うマウスピースは、開きが大きいモデルが多いかもしれません。

しかし、オープニングの小さいマウスピースを使っている名手も確実に存在します。

オープニングに限らず、マウスピース選びに正解はなく、自分の好みや奏法との相性こそが重要ですから、開きが大きいマウスピースをいたずらに目指す必要はないでしょう

初心者であれば小さめのオープニングを持つマウスピースを選ぶのがセオリーではありますが、例えば息の量が多い人が開きが小さいマウスピースを使ってしまうと、逆に吹きにくいこともあります。

感覚や体格には個人差がありますから、何種類かを実際に吹いてみてから選ぶのが理想でしょう。

クラリネットマウスピース選び方②|フェイシング

クラリネットのマウスピースを選ぶ際の第2のポイントは、「フェイシング」です

フェイシングとは、マウスピースの先端からリードがマウスピースに接する部分までのカーブの距離のことを言います。

つまり、フェイシングとは、リードが振動する部分の長さのことを指しているのです

フェイシングにはロング、ミディアム、ショートとあり、音の柔軟性を左右します。具体的にどんな違いが出るかチェックしていきましょう。

ロング・フェイシングのマウスピース

  • 太く、暗い音色
  • 音のつながりが良く、レガートがかけやすい
  • 音の芯が作りにくく、輪郭がぼやけやすい

ショート・フェイシングのマウスピース

  • 明るく、クリアな音色
  • 反応が良く、歯切れの良い音
  • 音色に変化をつけにくく、単調な印象になりがち

ロング・フェイシングの方が自由度が高いので、音を揺らしたり音色に変化をつけるなど多彩な表現がしやすそうですが、ショート・フェイシングは安定して吹くことができ音程も定まりやすいと言えます

ミディアム・フェイシングのマウスピースは、ロングとショートの中間の傾向です。

また、フェイシングは、長さの他に角度でも音が変わります。

角度が深いと抵抗感(息を入れた時に戻ってくる感じ)を強く感じ、直線に近い角度であれば、抵抗は弱く感じるでしょう。

このフェイシングと前述したティップ・オープニングを様々に組み合わせることで、たくさんのモデルが開発され、マウスピース選びの選択肢が広がったと言えるのです。

クラリネット・マウスピースには個体差がある

同じメーカーの同じモデルのマウスピースでも1本1本個体差(あたりはずれ)があると言われています

天然素材を使っているクラリネット本体やリードなら個体差があっても納得できますが、マウスピースは機械製造しているイメージがありますね。

それにも関わらず個体差がある、それはなぜなのでしょうか。

最終調整は職人の手仕事で行なっているから

クラリネットのマウスピースの製造はほぼ機械で行い、その機械の精度も年々上がってきていると言えます。

しかし、最終調整は職人の手仕事で行なっているメーカーが現在でも多いのです。

人の手が入ることが個体差が生まれる理由の一つと言えるでしょう。

機械や道具の劣化のため

一方で、人の手を一切使わず、コンピューター制御された機械のみでマウスピースを製造するメーカーも登場しています。

しかし、いくら精度の高い機械でもメンテナンスのタイミングで、例えば研磨する刃の切れ味が違ってくるでしょう。

また最初にマウスピースの内径を型取りする金型(ブランク)も経年劣化していくものですから、そこでも微妙な違いが出てくるかもしれません。

せっかく買うなら、はずれのマウスピースは避けたいもの。でもこうしたコンマ数ミリの違いを吹き心地や音で選別するには、かなり高度な技術が必要だと言えるでしょう。

クラリネットマウスピースは試奏・選定して買おう

では、マウスピースの個体差は、初心者でも何本か吹けばわかるものなのでしょうか。それともある程度、経験を重ねればわかるようになってくるのでしょうか。

これについては感覚に個人差もありますし、なんとも言えないところです。「違いはわかるけれど、どれがいいのかはわからない」と悩む方も多いでしょう。

しかし、わからないなりに自分で選んでみることは貴重な経験になりますから、ぜひチャレンジしてみましょう。

試奏・選定をする際の注意点

まず楽器店にお目当てのモデルの在庫を確認します。複数本あり比較できるようであれば選定する日時を決めて来店しましょう。

持ち物は、愛用の楽器、マウスピース、リード、リガチャーですマウスピース以外はいつものセッティングにしておくと違いがわかりやすいでしょう

今使っているマウスピースはウォーミングアップに使いますそうでないと、吹き始めのマウスピースより後に吹いたマウスピースの方が吹きやすく感じてしまうからです

また、オープニングやフェイシングが違うとフィットするリードも異なりますから、硬めと柔らかめ両方のリードを持ち込むと良いでしょう

時間はかかっても納得のいく1本が自分で選べたら良いのでしょうが、何時間もかけて迷いに迷い、結局わからなくなって買わずに帰る・・・ということも多くの方が経験していることです。がんばっても選べないことがあるという点は覚悟しておきましょう。

プロ奏者の選定品のマウスピースを購入するのも方法

マウスピースの選定に数時間かかるなら、その時間を練習に充てたいと思う方はいるでしょう。

そして自分が選んだマウスピースが本当に良いものか自信がないという方もきっといるはず。マウスピース選びは今の自分の音に向き合い、今後どんな音を出したいのかを集中的に考える貴重な経験ではあります。

しかしながら、効率を考えるとプロ奏者があらかじめ選んでくれた「選定品」を購入するのも良い方法の1つでしょう

同じモデルのマウスピースを複数本そろえて、その中から一定以上のレベルのものをプロ奏者が選んだものが「選定品」です。

奏者にもよりますが、大体3割くらいが選定品になることが多いようです。例えば10本マウスピースがあったなら、上位3本にお墨付きが与えられるということです。

ほとんどの場合、選定品の箱には選定者の名前が記載されています。名前が出ているので適当な仕事はしないだろうという安心感もありますね。

選定品は楽器店で購入できます。在庫がなくても、その楽器店に出入りしている奏者に選定を依頼できる場合があるので、スタッフに相談してみましょう。

また、師事している先生に選んでもらってもいいですね。

プロ奏者のマウスピース選びは早いです。吹くのはほんの数秒。それで違いがわかると言います。

もちろんプロの中でも得意不得意はあるようですが、やはり相当高いレベルにいる人でないと、素早く的確にマウスピースを選ぶことは難しいでしょう。

クラリネットマウスピースの選び方は長い時間をかけて学んで行くもの

今回は、クラリネットマウスピースを構成する要素(ティップ・オープニング、フェイシング)と、マウスピースには個体差があり良いものを選ぶ必要があること、また自分で選ぶ時間や自信がないときに検討すべき選定品についてご案内しました。

マウスピースにまつわるあれこれは、レベルや経験年数に関わらず多くの奏者にとって常に悩みの種となっています。

奥深いマウスピースの世界への導入編として本記事が参考になれば幸いです。

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DoReMi
音楽系教育機関で音楽家の学習や演奏活動を支援しながら、ピアノやソルフェージュなど自身の音楽活動を継続しています。音楽学習者がつまずきやすい音楽の概念を読んで理解できるサイトを創りたいという思いから、「DoReMiOnline」を立ち上げました♪