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ピアノとチェンバロの違い|仕組みと歴史、奏法について

ピアノとチェンバロのイメージ画像

ピアノとチェンバロはどちらも鍵盤楽器で、形も似ています。

見た目に関して言えば、ピアノのほうが黒くて重厚なイメージで、チェンバロは楽器本体に装飾が施されていて、華奢なイメージです。

ピアノとチェンバロには、見た目以外にどのような違いがあるのでしょうか。

本記事では、ピアノとチェンバロの違いを、音の出る仕組みや歴史、奏法などの観点から確認していきます。

ピアノとチェンバロ、音の出る仕組みはこんなに違う!

ピアノは響板(=弦の下に張ってある音響効果を高める板)に張られた弦を、下からハンマーで打つことで音が出る仕組みになっています。つまり、ある種の打楽器であると言えます。

一方で、チェンバロは響板に張られた弦を、ジャックと呼ばれる薄い板状の部品に取りつけられた爪で下からはじくことで音が出ます。そのため、ギターやハープと同じような、撥弦楽器(=弦をはじく楽器のこと)と言えます。

すなわち、ピアノは打弦楽器(=弦を打つ楽器)であるのに対して、チェンバロは撥弦楽器(=弦をはじく楽器)であるということが大きな違いです

ピアノには金属フレームが用いられているため、弦の張力が強くても耐えることができます。一方で、チェンバロは材料が木のみなので、ピアノよりもずっと弦の張力が弱いです。

さらに、ピアノは一音につき弦が3本ずつ張られているのに対し、チェンバロは一音に対応する弦の数が1本です。

ピアノにはペダルが付いていますが、チェンバロにはないのも大きな違いです。

よく「チェンバロの鍵盤はピアノと白黒が逆」と言われますが、それは絶対条件ではありません。18世紀のフレンチ・チェンバロにそのようなものが多いのですが、ピアノと同じ仕様のものや木の色がそのまま生かされているものも見られます。

鍵盤の様相も異なります。ピアノは基本的に鍵盤は一段です。一方で、チェンバロは大型だと二段鍵盤になりますが、小型の一段鍵盤もあります。

また、ピアノの音域が7オクターブ強(88鍵)と決まっているのに対し、チェンバロは4~6オクターブでピアノよりも音域が狭く、時代や国によっても異なります。

ピアノとチェンバロ、それぞれの歴史

チェンバロと言ってもさまざまなタイプがあり、その起源ははっきりしませんが、中世あたりから記録があり、17~18世紀に最盛期を迎えました。

一方、ピアノはイタリアのクリストフォリが1709年に発明したのが最初と言われています。弱音も強音も出せるチェンバロという意味の「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」と名付けられたのが省略されて、「ピアノ」と呼ばれるようになりました。

その後、ピアノは改良が重ねられその存在感を高めていく一方で、18世紀の終わり頃になるとチェンバロは廃れていきます。しかし、19世紀末に復興の機運が生じ、様々な試行が重ねられ、現在まで残っています。

ピアノとチェンバロの奏法の違い

先述したように、ピアノとチェンバロは音の出る仕組みが異なるため、奏法も異なります。

ピアノは弦を打つことで音の強弱を出します。そのため、ピアノ演奏においては、指だけでなく腕の重みや手首の動きを使って打鍵の強さをコントロールします

しかしながら、チェンバロは弦をはじいて音を出すので、ピアノと同じ奏法で演奏しても良い音色は出せません。したがってチェンバロは鍵盤に触れたときに指先で弦に爪が掛かるのを感じながら、まさしくつまびくように弾かなければなりません

そして、チェンバロはその構造上、多少の強弱をつけることはできますが、ピアノほど強弱の幅をつけることができません。

また、チェンバロには、レジスターという複数の弦の配列を切り替えて音量や音色を変化させる部位があります。これによってピアノにはない音響効果を生み出すことができます。

ピアノではどの指でも均等に音を出せるようになることを目的に訓練します。一方で、チェンバロでは音の並びを均等に弾くことはせず、強い指・弱い指(=指の強弱)を使い分けて、微妙な変化をつけます。

ピアノほど強弱の幅が出せない分、アーティキュレーション(音と音とのつながりに強弱をつけること)がチェンバロでの表現の鍵を握ります。アーティキュレーションに大きく影響するのが指使いであり、ピアノで弾く時と同じ指使いではチェンバロの良さを全く活かすことができません。

ピアノとチェンバロを弾き比べてみよう

ピアノとチェンバロの一番の違いは楽器の構造、その中でも音の出る仕組みであるということがおわかりいただけたでしょうか。

それによって音色の違いも生まれ、演奏方法も変わってくるんですね。

同じ曲でも、ピアノで演奏される場合もチェンバロで演奏される場合もありますが、ピアノ出現以前の、チェンバロで演奏されることを念頭に置いて作曲された曲であれば、一度はチェンバロで演奏してみては「いかがでしょうか。