未分類

ピアノの黒鍵はなぜあの位置に?|鍵盤楽器の黒鍵・白鍵の配置の謎に迫る

黒鍵の配置イメージ画像

ピアノを弾いたことがある方でしたら、「なぜ白い鍵盤(白鍵)と黒い鍵盤(黒鍵)があるのだろう」「白鍵と黒鍵はなぜ均等に配置されていないのだろう」と疑問に思ったことはありませんか?

疑問に思うのも無理はありません。鍵盤の配置は、白と黒が均等に配置されているわけではなく、一見して無秩序な配置に見えてしまいます。

しかしながら、ピアノなどの鍵盤楽器の鍵盤が今日のような配列になったことには、合理的な理由があるのです。

本記事では、一見して無秩序に見える鍵盤の黒鍵や白鍵がなぜ今日のような配置になったのか、その理由について詳しく見ていきます

白鍵と黒鍵 と 白鍵と白鍵 の距離は同じ!?

白鍵と黒鍵の配置について説明する前に、現代の音楽の音の高さの種類と、それぞれの音の高さの距離について簡単に確認しておきましょう。

現代の音楽では、「①ド ②ド♯(レ♭) ③レ ④レ♯(ミ♭) ⑤ミ ⑥ファ ⑦ファ♯(ソ♭) ⑧ソ ⑨ソ♯(ラ♭) ⑩ラ ⑪ラ♯(シ♭) ⑫シ」の12種類の高さの音を組み合わせて楽曲がつくられます。

12の音の配列を鍵盤上で見ると、以下のようになります。

12種類の音の画像

白鍵と黒鍵があるため、一見すると黒鍵の音の高さは白鍵の音の高さとは異なる秩序で決まっているように感じられます。

しかしながら、実は、これらの12の音は、等間隔(に聞こえる)ように並べられたものなのです
※現代の鍵盤楽器の大勢を占める「平均律」という調律法の場合

等間隔と述べましたが、正確には、となり合う音同士の差(たし算)が同じなのではなく、となり合う音同士の比(かけ算)がすべて等しいのです。

具体的には、ある音の振動数に1.0594という数字をかけると、1つ高い音の振動数とほぼ同じ音の高さになります。

たとえば、「ド」の振動数に1.0594をかけると、「ド♯(レ♭)」の振動数とほぼ一致します。同様に、「ド♯(レ♭)」の振動数に1.0594をかけると、「レ」の振動数とほぼ一致します。

このように、不思議ではありますが、音と音の間隔が同じ差(たし算)ではなく同じ比(かけ算)であるときに、私たちは音が等間隔に並んでいると感じるのです。

音の高さや音律については、以下の記事もご参照ください。

純正律と平均律のイメージ画像
純正律・平均律とは|音律と音の高さはいかにして決まるのか 【純正律】 純正律とは、ある主音(=楽曲の中心となる音)を中心として、その主音と他の音が最も協和するように音の高さを決定する方...

ここで、鍵盤の配列に話を戻します。もう一度先ほどの図で、各鍵盤の音の高さについて確認していきましょう。
※少し右に伸びていますが、①と①'や、②と②'は高さの違う同じ種類の音です。

12種類の音

先ほど説明した通り、12種類の高さの音は、すべて等間隔に配置されています。

つまり、①と②の音の高さの距離と、②と③の音の高さの距離は同じなのです。その他の音の高さについても同様です。

そして、驚くべきことに、①と②の音の高さの距離と、⑤と⑥や⑫と①'の音の高さの距離は同じです。

「白鍵と黒鍵」という関係と「白鍵と白鍵」という関係とがことなるので、直感には反してしまいますが、音の高さはすべて均等になるように配列されているのです。

黒鍵は鍵盤を視覚で直感的に把握するために必要だった

意外なことに等間隔で並んでいる黒鍵と白鍵の音ですが、なぜこのような配色と配置になったのでしょうか。

全ての音が均等であるならば、すべて同じ色・感覚で統一してもよかったのではないでしょうか。

試しに、全ての音を同じ色・感覚で並べてみましょう!!

白鍵のみの鍵盤

いかがでしょうか?どこに何の音があるのか、全くわからないのは私だけでしょうか?恐らく、誰も何の音がどこにあるのか、実際に弾いて見ないとわからないでしょう。

では、白鍵に黒鍵を加えて、交互に並べてみましょう。

白黒交互の鍵盤画像

残念ながら、これでもまだどの音がどこにあるかよくわかりませんね。

では、白鍵と黒鍵を、現代のような配置で並べてみたらどうなるでしょうか?

白鍵と黒鍵の現代配置

これなら、規則さえ覚えてしまえば、どの音がどこに位置するのか、簡単に見分けがつきそうですね。

このように、白鍵と黒鍵が交互にではなく少し変わった順序で並んでいるのは、12種類の音がそれぞれどこにあるのかを視覚で瞬時に判断できるようにするためだったのです

黒鍵の形は手の大きさに合うように調整された

ここまで見てきたように、鍵盤の各音の位置を視覚的に判断しやすいように、白鍵と黒鍵が交互にではなく少し変わった順序で配置されるようになりました。

しかしながら、白鍵と黒鍵を不規則に配置するだけではまだ十分ではありませんでした。次に問題となるのは、「手の大きさ」です。

楽曲が高度になってくると、離れた距離の音を同時に弾いたり、離れた距離の音への移動を繰り返したりするようになります。

たとえば、有名なモーツァルトの「トルコ行進曲」では、ある音と1オクターブ高い音(例:高いドと低いド)を片手で同時に弾くのを繰り返す箇所があります。

白鍵と黒鍵の現代配置

ところが、先ほど見た図のような配置だと高さの離れた音同士の物理的な距離が、大きく開いてしまいます。1オクターブ違いの音を同時にならすこともできなくなってしまいます。

では、鍵盤の間隔を小さくしてみてはどうでしょうか?

狭い鍵盤の画像

図のように間隔を狭くしてしまうと、1つの鍵盤上に指が収まらなくなってしまいます。指を横にすれば弾けないことはないかもしれませんが弾きづらいことこの上ないでしょう。

ここまでを踏まえて、現代の鍵盤楽器の基本の形を見てみましょう。

鍵盤楽器の基本形

図のように、黒鍵が奥の方で白鍵の間に割り込むように配置されています。それにより、単純に12種類の音を横に並べるより、離れた音との距離が短くなっています。

このくらいの距離であれば、1オクターブ離れた音であっても片手で同時に打鍵することができます。

また、黒鍵は白鍵より上に浮き上がっているため、幅が狭くても指を使って打鍵することはむずかしくありません。

つまり、現代に受け継がれる白鍵と黒鍵の配置は、指で演奏しやすい形を追求した結果の配置だったのです

あらためて現代の白鍵と黒鍵の配置を見ると、以下の点で非常に合理的であることがわかります。

●白鍵と黒鍵の独特な配置により、12種類の音の位置が視覚で瞬時にわかる。

●黒鍵を奥に配置して浮き上がらせることにより、離れた音でも片手で同時に弾いたり、行き来したりすることができる。

白鍵と黒鍵の配置は意外と合理的だった

以上のように、現代の鍵盤楽器の基本的な白鍵と黒鍵の配置は、12種類の音を人間の手で弾き分けるために、試行錯誤を重ねて生み出されたものであることがわかります。

現代的な白鍵と黒鍵の配置の持つメリットは、視覚的な判別可能性や手の大きさとの親和性だけにとどまりません。

たとえば、海外のサイト(https://www.quora.com/Why-is-the-piano-keyboard-configured-the-way-it-is-with-uneven-black-keys)では、白鍵と黒鍵にによる配置のメリットとして、手の形を変えることで様々な和音を弾ける点などが指摘されています。

ピアノなどの鍵盤楽器の演奏においては、驚異的なスピードの演奏や、多声音楽の演奏など、実に様々な表現・技巧を用いた演奏が繰り広げられています。

このような鍵盤楽器演奏の発展は、先人たちの鍵盤の配置に関する数多の試行錯誤の上に成り立っています。

ピアノの黒鍵って変な配置…などと思わずに、合理的な理由のあるものであることを理解し、演奏に役立てていきましょう。

【本記事は参考になりましたか?】

少しでもお役に立てたのであれば、気軽にシェアしていただけるとうれしいです♪