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クラヴィーアとは│バロック時代に使用された3種類の鍵盤楽器

クラヴィーアのイメージ画像

ドイツ語で「Klavier(クラヴィーア)」という言葉があります。有名なJ.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」にも入っている言葉です。

このクラヴィーアとは具体的にどのようなもの・ことを指しているのでしょうか。

実は、クラヴィーアとはある特定の楽器のことではなく、鍵盤楽器全般を指す言葉なのです

バッハの生きたバロック時代には、どのようなクラヴィーア=鍵盤楽器があったのでしょうか。本記事では、音の出る仕組みが異なる3つのクラヴィーアをご紹介します。

クラヴィーアその1|管楽器の集合体?!パイプオルガン

クラヴィーアの1つ目は、「パイプオルガン」です。

パイプオルガンは、ふいご(風を送るための装置)によってパイプに空気を送ることで、音が鳴る仕組みになっています。つまり、笛に鍵盤がついたような楽器です。

笛とパイプオルガンを比較してみましょう。まず、笛には管に穴が開いていて、それを指で押さえることで音を変えることができます。

それに対して、パイプオルガンのパイプは1本につき1つの音しか出せません。そのため、長さの違うパイプが音の数だけ並んでいます。

パイプオルガンは、鍵盤楽器の中でも一番古い歴史を持つ楽器です。

13世紀にはキリスト教における教会の楽器として確立されたこともあって、途切れることなく現代に至るまで使われ続けています。

教会に設置されるような大オルガンだけではなく、小型のポジティフ・オルガンもあります。

クラヴィーアその2|はじく楽器、チェンバロ、ヴァージナル、スピネットなど

続いては、クラヴィーアの中でも「はじく」楽器をご紹介したいと思います代表的なものに「チェンバロ」「ヴァージナル」「スピネット」があります

チェンバロは弦をはじくことで音が鳴る楽器です。はじくことで音が出る仕組みは、ハープやギターと一緒です。

そして、チェンバロと同じような仕組みの鍵盤楽器としては、ヴァージナル、スピネットと呼ばれる楽器がありました。

ヴァージナルはの形は、長方形あるいは多角形で、まるで机のような形状をしています。フェルメールの絵に描かれていることでも有名です。

ヴァージナルの特徴は、楽器の長辺及び鍵盤に対して弦が平行に張られていることです。弦は1組で、手前が低音、奥に行くほど高音の弦が張られています。

スピネットも小型の楽器で、鍵盤に対して弦が斜めに張られていることが特徴です。

他には、現代のアップライトピアノのように、響板(=弦の下にある音響効果を高める板)と弦が奏者の顔の前に来るように立てられたクラヴィツィテリウム。

また、金属弦の代わりにガット弦(羊の腸から作られた弦)を張ったラウテンヴェルクという楽器もあり、J.S.バッハはラウテンヴェルクを特に好んでいた、とも伝えられています。

クラヴィーアその3|ひそやかな楽器・クラヴィコード

クラヴィーアと名前が似ていますが、「クラヴィコード」も、当時使用されていた鍵盤楽器の1つです。

クラヴィコードは、数メートル離れると聞こえなくなるような小さな小さな音の楽器です。教育用・練習用など私的な空間で用いられました。

長方形の箱型の楽器で、机や専用の台に載せて、演奏します。

クラヴィコードは、タンジェントという真鍮片が弦を押し上げることで音が出る仕組みです。弦には消音用の布が巻かれていますが、タンジェントが弦を押し上げている間は弦が振動します。

オルガンやチェンバロと違い、限られた範囲ではあるもののタッチで強弱の変化をつけられる点では、ピアノに近いかもしれません。

そして、特筆すべきはヴィブラートができるという点です。

鍵盤を押さえたまま、上下に細かく動かすことで弦の張力に変化が起き、ヴィブラートがかかります。ヴィブラートを可能とする唯一の鍵盤楽器です

特に北ドイツで使われており、J.S.バッハも愛用していました。

バッハの息子C.Ph.E.バッハは自著「正しいクラヴィーア奏法」の中でクラヴィコードの表現力を高く評価しており、「クラヴィコードを上手に弾ける人はチェンバロもうまいが、その逆はありえない」と述べています(ただし、「指の力をつけるためにはチェンバロも使わなければならない」とも)。

それぞれのクラヴィーアだからこその魅力を知ろう

このように、バロック時代によく使われていた鍵盤楽器は、大きく分けると3つに分類されます。クラヴィーア曲と言えば、これらのどの楽器でも演奏された可能性があるわけです。

曲によっては明らかにチェンバロ向き、オルガン向き、というのもありますが、どちらで弾いても違和感なく、それぞれに魅力の生まれる曲もあります。

現代では、クラヴィーア曲はピアノでも演奏されています。とはいえ、当時の楽器の特性を活かした表現を用いて作曲されている部分もあるので、それを知って演奏することは大切なのではないでしょうか。

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