楽曲解説

「小さな集会」の楽曲解説・考察|ブルグミュラー25の練習曲より

ブルグミュラー「小さな集会」楽曲解説

今回は、ブルグミュラー25の練習曲の第4曲、「小さな集会」に関する楽曲解説・考察です。

この曲のタイトル、昔の本には「子供の集会」と書いてあったんですよね…。

原語(フランス語)のタイトルを見ると、「La petite réunion」とあります。「petite」には「小さな」という意味があります。

これを意訳して「子供の」としたのかもしれませんが、これは必ずしも子供という意味ではなく規模を表しているため、より正確な「小さな」という訳に変更したのでしょう。

ところで、25の練習曲を作曲したブルグミュラーについて、これまで言及していなかったので、ここで軽く触れたいと思います。

作曲者のフリードリヒ・ヨハン・フランツ・ブルクミュラー(1806~74)はドイツのレーゲンスブルクに生まれ、デュッセルドルフで育ちました。

あれ?ドイツ人なのに、なぜ練習曲のタイトルはフランス語なんだろう?と思ったアナタは鋭い!

その後、26歳でフランスに渡り、パリで活躍したからなんですね。ピアノ教師、サロン音楽の作曲家、そしてバレエ音楽作曲家として活動していたそうです。

ピアノ教師の経験を活かして、小さな手でも楽しめ、なおかつ必要な演奏技術を学ぶことができるよう、工夫して作曲したのだと思います。

そして、150年以上の時を超えて、今なお日本で親しまれているんですね。

「小さな集会」を弾き始める前に|テンポや拍子の確認

まずは、「小さな集会」の拍子やテンポなどの全体にかかわる部分を確認しておきましょう。

拍子は4分の4拍子で、テンポ表示は「Allegro ma non troppo」。

「ma non troppo」という楽語は初登場ですね。

「ma」は「しかし」、「non」は否定の意味、「troppo」は「余分」という意味です。

楽典の本などでは、「non troppo」の意味は「はなはだしくなく」なんて書かれていますが、わかりにくいですよね。

要は、「やり過ぎないで」ってことです。

前につく単語によって変わってくるのですが、この場合は「速く、しかし速すぎずに」という意味になります。

イントロ(1~6小節目):左手と右手の対比がポイント

「小さな集会」は、まず左手が単独で、メロディーを奏でるところから始まります。

スラーが書かれているので、レガート(なめらか)に演奏しましょう。

ここは、「始まるよ~」と呼びかけているイメージでしょうか。

すると、右手は3度の和音でスタッカートで上から下へと降りてきます。呼びかけに応えて、人々がわらわらと集まってくる感じ。

スタッカートは指先ではたかないように、指先は鍵盤につけたまま、手首のスナップを利かせて短く弾きましょうね。

ポイントは、左手のレガートと、右手のスタッカートという対比がなされていることです。

イントロに限らず、この曲はメロディー+伴奏という形ではなく、右手・左手ともにメロディーでやりとりするような曲ですので、その点を意識して演奏するとよいでしょう。

主題(7~14小節目):和音のレガート、どうやって弾く?

7小節目からの主題・・・さあ、集会が始まりました。

ブルグミュラーさんはこの曲で、右手と左手で対等にメロディーを奏でること、そして和音のスタッカートやレガートといった奏法の習得を念頭に置いていたのではないかと考えられます。

そして、ここから右手に出てくる和音はレガートで演奏しなくてはなりません。

まずは3度の和音の連続です。3度の和音を弾く際の基本となるポイントは、2つの音がバラつかないようにそろえること、そして高い方の音がよく聞こえるようにバランスを取ること、です。

スラーが切れているところでは音を切っていいのですが、問題は7小節目終わりから8小節目にかけての部分です。

7小節目の最後の音、ファ・ラを弾いている1・3の指と、8小節目のミ・ソの3・5の指をどうつなげばいいのか。

このように両方の指をつなげられない場合は、レガートで弾くことが可能な指だけをつなげて弾くことで、全体がレガートに聞こえるように演奏することができます。

この場合は、ファを弾いている1の指と次のミを弾く3の指をクロスしてレガートにするんですね。

和音の上の音であるラからソへ行くときには切れてしまいますが、ここは注意が必要で数。

どうせ音が切れてしまうんだからと早々に離してしまわずに、ぎりぎりまで音を残すように弾くようにしましょう。

意識の上では音がつながっているイメージで弾いてください。これをイメージしているかしていないかで、全然出てくる音が変わってくるんですよ、ホントに。

続けて、8小節目の1拍目、ミ・ソの3・5の指から2拍目のド・ミの1・3の指をつなげなくてはいけません。

この場合はメロディーとなる上の音をレガートにすることを優先して、ソ→ミ、5→3の指をつなげ、1拍目のミの音を弾いている3の指はいったん離します。

11小節目と12小節もまったく同じメロディーが出てくるので、同じように弾きましょう。

そして、主題の最後。今度は3度の転回音程、6度和音のレガートです。難易度アップがアップしています。

でも、ポイントは3度の和音のときと同じで以下の2点です。

●切れないように、必ずどこかの指を残してレガートにする(メロディーとなる上の音を優先)。

●メロディーとなる音をつなげている意識で弾く。

弾いているうちに手首が上下に動かないように、移動してもなるべく一定の場所を保って弾くこと。

そのためには1の指の付け根の動きの柔軟性、左右への可動域を広くすることも必要でしょう。

最後の音、特に左手が和音ですので音が大きくなり、乱暴になりがちです。注意!

中間部(15~22小節目):クライマックスへ!

15小節目から、曲の展開が変わり、中間部へと入ります。

ここで、再び左手が先導します。しかも、和音の連続です。

でも、右手ほどはむずかしくないのでご安心を。

ただし、2つの音がバラつかないようにそろえ、上の音がよく聞こえるようにバランスを取る、という基本は忘れずに。

左手を模倣するように、右手も同じ和音で追随します。

そして、19小節目のクライマックス。右手のf(フォルテ)の和音を受けて、左手で鋭く入る♭ラのsf(スフォルツァンド=その音を特に強く)。

これを際立たせるためにも、その後の音のソはぐっと抑えて、小さく弾いてください。

意識していないと、上から下へ、ドスンと下りて大きな音になりがちです。注意しましょう。

続けて同じメロディーを繰り返しますが、今度はp(ピアノ)です。エコー効果を活かしてくださいね。

その後、さらに右手だけでメロディーを畳み掛けるけれど、左手の返答はなし(休符)…ここにドラマが隠されていそうです。

主題再び(23~30小節目):習得ポイントのおさらい

ここは7~14小節目とまったく同じですので、説明は省略します。

この曲の場合、主題の部分が一番むずかしくて、ブルグミュラーさんの意図する習得ポイントが詰まっているところだと思いますので、ここで再び復習を促しているのかもしれません(笑)。

演奏における注意点のまとめと補足

和音のレガートやスタッカートの奏法が自在にできるようになりましたでしょうか。

左手が先導して右手とのメロディーのやりとりが形作られていると思いますので、左手の表現をより積極的に。

主題の部分は右手の和音の連続が難しいため左手がおざなりになりがちですが、左手のメロディーも朗々と聴かせてほしいものです。

イントロ、主題、中間部、それぞれの部分でp(ピアノ)からf(フォルテ)まで、さらにsf(スフォルツァンド)と、デュナーミク(強弱)の振り幅が大きいので、そこもしっかり表現したいですね。

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