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バロック音楽の特徴とその時代背景|和声やオペラの誕生

バロック音楽のイメージ画像

1600年から1750年までの約150年間を指して、バロック時代と称しています。そんなバロック時代に演奏されていたのがバロック音楽です。

今から250年以上前ですから、現代の私たちにわからないことがあっても不思議ではありません。どんな時代だったのか、探ってみましょう。

バロック時代の始まりと終わり

オペラはバロック時代にできたことをご存知でしたか?

始まりを1600年としているのは、現存する最古のオペラ「エウリディーチェ」が上演された年だからです

そして、J.S.バッハが亡くなった1750年をもって、一応の区切りとしています。絶対王政の時代とほぼ重なります。

バロックと呼ばれる理由は?

もともと「バロック」という言葉は建築・美術用語です。

極端な明暗のコントラスト、意図的にバランスを崩した動的でダイナミックな表現を指して、ポルトガル語由来の「ゆがんだ・いびつな真珠」を意味する言葉がバロックです

それが音楽にも流用されて、使われるようになったのです。

バロックの時代背景|ローマ・カトリック教会のプロパガンダと絶対王政

中世に絶大な支配力を誇っていたのは、ローマ・カトリック教会でした。

しかし、1517年ルターの宗教革命によりプロテスタントが台頭し、1527年のローマ略奪後にはカール5世の支配下に置かれます。

ローマ・カトリック教会はその権威を回復すべく、壮麗な大聖堂に劇的な空間を求めました。巨大な宗教画、数々の彫像、教会内には窓を多く設置し、差し込む光が神秘的な効果を生んでいます。

天井に描かれたフレスコ画はだまし絵効果でさらに奥行が感じられ、巨大なパイプオルガンの圧倒的な響きで圧倒することで、まるで天国にいるかのような心地がします。つまり、信者を惹きつける手段の1つとしての音楽という表現だったのです。

これが後には、フランスなど周辺国の王の権力の誇示するものとして取り入れられるようになりました。

イベントごとにお抱えの音楽家に音楽を作らせ、音楽家は依頼主の意向に沿って音楽を作ります。つまり、当時の音楽家は、現代でいうサラリーマンのような立場だったのです。

まとめると、バロック時代の音楽家は、教会や王族のお抱え音楽家として、雇い主の意に添うように音楽をつくっていた、ということです。

バッハやヘンデルがかつらをかぶっているのも、当時宮廷ではかつらをつけるのが礼儀だったからで、サラリーマンがスーツを着るようなものですね。音楽にも、劇的な表現が求められました。

バロック時代に生まれた音楽ジャンル

冒頭で述べましたが、バロック時代にまず誕生したのはオペラです。

古代ギリシャ劇を復活させようという試みから、一人が旋律を歌い、チェンバロ(古鍵盤楽器)やリュート(古弦楽器)の伴奏がつく歌曲形式が誕生しました。このような歌曲形式は、モノディー形式と呼ばれます。

今となってはめずらその前のルネサンス時代は複数のパートを同時に歌うことが当たり前でした。モノディーのような歌曲形式は、今となってはめずらしくありませんが、当時としては言葉や旋律を際立たせる、斬新な発想だったのです。

ここから通奏低音が生まれます。通奏低音とは、旋律に対するベースライン(低音)があり、その間を埋めるように即興的に和音を入れていくというものです。

これが切れ目なく続いていくことから「通奏」低音と言われました。バロック時代は通奏低音の時代と言われるほど、バロック時代のすべてのジャンルで使われました

楽器が大きく発達したのも特筆すべき点です。

ヴァイオリンの名器として有名なストラディバリもこの時代に生まれました。他にもフルートやオーボエなど、今でも使われている楽器の原型が作られました。

楽器の発達で高度な演奏技術を実践することが可能になり、独奏曲が増えたのも大きな特徴です。

協奏曲というジャンルが生まれたのもバロック時代です。独奏パートと合奏パート、それぞれを競わせるようにコントラストをつけることで、ダイナミズムを求めました

また、急~緩~急という楽章構成でもコントラストをつけ、躍動感を生み出しました。

オーケストラという楽器編成の原型ができたのもこの頃です。また、2つの旋律楽器+通奏低音というトリオソナタの楽曲も、バロック時代には非常に多く書かれています。

バロック時代に生まれた和音や音階

ルネサンス時代は、それぞれが独立した旋律を同時に奏でていました。このような形式を「多声音楽」と呼びます。

多声音楽においては、偶然に和音のような複数のメロディの調和が生じても、それは意図的なものではありませんでした。

しかし、バロック時代になると意図的に和音を使うようになり、旋律を和音が柱のように支える形になります

また、ドリア、フリディア、リディア、ミクソリディアなどたくさんあった教会旋法と呼ばれる伝統的な音階が、長音階と短音階の2つに集約され、調性音楽の骨組みが完成しました

バロック音楽家らしくないバッハ!?

バッハは、しばしば「対位法」というイメージがついて回ります。

対位法は、主旋律に対して、和音による伴奏づけを行うものではなく、主旋律とは別の新たな旋律を提示するものです。

ここまでで、バロック音楽の特徴は和声にあると説明したため、バロック=バッハ=対位法と思っていた方は、あれっ?と疑問に思うかもしれません。

実は、バッハはある意味、ちょっと立ち位置が違うのです。

バッハが、生涯のほとんどをプロテスタント教会におけるカントル(教会音楽家)として過ごしたことと関係があるかもしれません。プロテスタントは神と個人の関係を重視しているので、カトリックとくらべると質実剛健ですから。

カントルは、教会にまつわる一切の音楽業務に責任を持つ重要な役職でした。礼拝の時に讃美歌の伴奏でオルガンを弾いたり、教会行事のために作曲したり、聖歌隊の指導を行ったり、その仕事内容は多岐にわたりました。

バッハは当時の主要ジャンルだったオペラの作曲にはまったく携わっていません。その代わり、オペラから演技を除いたような形式、カンタータをたくさん作曲しています。

当時、バッハのスタイルは時代遅れだと思われていたようで、作曲家としてよりも、オルガニストや即興演奏の大家として認められていました。

それが後世になると、バロック音楽の集大成、あるいはその後の音楽の源流のように位置づけられ、バッハに対する評価は大きく変化しています。

バロックの表現のキモはコントラスト

ここまで見てきたように、バロック音楽の表現は、和声による複数の旋律のコントラストが鍵を握ります。均衡の美よりも落差のインパクトを重視していました。

まるで舞台でスポットライトが当てられるかのように、パッパッと切り替わっていくイメージでしょうか。バロック音楽の魅力である、シンプルさと明快さ、そして躍動感は、このようなコントラストから生まれていると言えるでしょう。

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