楽曲解説

「アラベスク」の楽曲解説|ブルグミュラー25の練習曲より

ブルグミュラー「アラベスク」楽曲解説

「アラベスク」と聞いて、何を思い浮かべますか?

「アラベスク」とは本来「アラビア風」という意味で、モスクの壁面などに見られる上下左右に連続する唐草模様を指します。

バレエのポースにも「アラベスク」というのがありますね。

音楽では、装飾的で幻想的な小曲のタイトルに使われています。

「アラベスク」のタイトルで作曲したのはシューマンが最初だそうです(op.18)。

ドビュッシーの「2つのアラベスク」も有名ですね。特に、第1番はCMなどで多用されているので、聞いたことのある人が多いと思います。

ところで、小さい頃からピアノを習っている人にとっては、「アラベスク」と言えばブルグミュラーではないでしょうか。

「ブルグミュラー25の練習曲」(op.100)の第2曲として収められています。発表会などでもよく演奏されていて、小さい子にとってはあこがれの曲。

なぜ惹き付けられるのか、演奏のポイントとともに考察してみたいと思います。

アラベスクは出だしが肝心!左手の和音

「アラベスク」はA-B-A-Coda(終結部)から成る三部形式の曲です。

漫然と弾かず、2拍子を意識するようにしましょう。

アラベスクはまず、左手でイ短調の主和音、ラドミの和音をスタッカートで演奏するところから始まります。

これが気持ちをかき立てますね(笑)。

ただし、ヘンに力が入っていると、和音にバラつきが出て重くなってしまいます。

和音を調和させるポイントは「手首のスナップ」です。

指先を鍵盤から離し過ぎず、ボールをドリブルするイメージで弾いてみてください。

アラベスクの十六分音符の弾き方のコツ

アラベスクでは、左手の和音に導かれて、右手の十六分音符のメロディーが始まります。

十六分音符は早いので、演奏するのにちょっとしたコツがいります。

ありがちなのが、全部の音をしっかり弾こうとしてしまうことです。

全ての音に気合を入れてしまうと、力んでしまいうまくいきません。

鳴らすのは拍の頭の音だけ、というイメージで弾くといいでしょう。

例えば、最初のラシドシラ、ラシドレミだったら、「ラ」シドシ「ラ」、「ラ」シドレ「ミ」というように、「 」で示した音が拍の頭の音で、左手の和音と重なる音です。

間の音は力を抜いて軽く、「弾く」というよりも指を鍵盤に置いたまま重心移動します。

指を動かそうと思うと力んでしまうので、最初に弾いた音の勢いを利用して進むというイメージです。

ただ指を物理的に動かすだけではなく、それぞれの指から次の指へと重心が移り変わっているのを感じながら練習してみてください。

右手の十六分音符が加わっても、冒頭の左手の和音のテンポと変わらないように、一定に保ったまま弾きましょう。

両手を合わせようとするとテンポが遅くなってしまうという人は、まずは右手の拍の間の音を入れず、拍の頭の音だけ弾くことから始めましょう。

それから、テンポをキープしたまま徐々に間の音を入れてみましょう。

その時、間の音は軽く抜いて弾くというのを忘れずに。

アラベスクの中間部のポイント

アラベスクの中間部(B)では、Aの部分で右手で弾いていた十六分音符のモチーフが左手にも登場します。

右手では弾けたけれども、ここで左手が動かず、ガクンとテンポが遅くなってしまうという人も少なくありません。

左手の十六分音符は、右手での演奏にも増して、「拍の頭の音を鳴らして間の音は抜く」ということを意識してみてください。

拍の頭の音だけ弾いて、右手でメロディを演奏数るAの部分と同じテンポになっているかを確認し、整合性を図りましょう。

アラベスクの中間部がむずかしく感じられるのは、右手と左手の両方がメロディーとして絡んでいるからという点も大きな理由の1つでしょう。

意識としては、左手の十六分音符の細かい動きに対し、右手の付点四分音符と八分音符という長いフレーズを対照的に聴かせることを心がけましょう。

Coda(終結部)をカッコよく決めよう!

アラベスクのCoda(コーダ:結びの部分)は、左手の和音、右手の十六分音符というモチーフを使い、右手はどんどん音域を上げていきます。

そして、一気に両手で低い音域をユニゾンで弾き、中音域に戻って両手で和音を弾いて終わる。

この音域を広範囲に行き来する感じ、最後に和音で派手に終わる感じがカタルシスなのではないかと思います(笑)。

決まるとカッコイイですが、外しやすいのも最後の箇所です。

最後をしっかり決めるポイントは、次に移動する鍵盤の位置を先に目で確認しておくことです。

つまり、今弾いている箇所を見ていてはダメだということです。

そして、最短距離を最速で移動し、すぐ音を鳴らすのではなく、鍵盤の上に指を乗せた状態で一瞬待つ、ということです。

これで、ブレずに狙った音を出しやすくなります。

アラベスクに登場する楽語をチェック

ブルグミュラーの「アラベスク」には、覚えておきたい楽語がたくさん出ています。

よく耳にするブルグミュラーの「アラベスク」だからこそ、なぜそのように弾くのか、楽語に示されているということが納得しやすいはずです。

「アラベスク」で使用されている楽語(イタリア語)は以下のとおりです。

Allegro [アレグロ]:速く
scherzando [スケルツァンド]:戯れるように、おどけて
leggiero [レッジェーロ]:軽く
cresc.(crescendo)[クレッシェンド]:だんだん強く
sf [スフォルツァンド]:その音を特に強く
dimin.(diminuendo)[ディミヌエンド]:だんだん弱く
e [エ]:そして
poco [ポコ]:少し
rall.(rallentando)[ラレンタンド]:だんだん遅く
in tempo [イン・テンポ]:一定の速度で
dolce [ドルチェ]:甘く、優しく、柔らかく ※名詞では「甘いお菓子」の意味
risoluto [リゾルート]:決然と

これを機に、楽譜に書かれている楽語に注意を向けられるようになるといいですね。

ブルグミュラーの「アラベスク」のイメージを推測する

ラシドシラという山形の音型、それに続くラシドレミという上行形が随所に散りばめられています。

そして、楽譜全体を眺めると、これらの十六分音符の形自体が唐草模様のように見えてくる…というのはこじつけでしょうか(笑)。

唐草模様の画像
画像:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:風呂敷_唐草模様.jpg

短いですが、中間部における両手のメロディーの絡み合いも、唐草模様のイメージを彷彿とさせます。

同じくブルグミュラー作曲で「トルコ風ロンド」(op.68-3)という曲があり、こちらも左手がイ短調の主和音をスタッカートで連打するという出だしのせいか、「アラベスク」と似た雰囲気が感じられます。

「トルコ風ロンド」は「アラベスク」よりも難易度が高いですが、アラベスク同様おすすめの曲の1つです♪

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