楽典

楽譜の読み方③|オクターブと12種類の高さの音同士の距離

オクターブと12の音の高さイメージ画像

人間は、振動数が2の倍数の音同士を同じ種類の音と感じる。2の倍数の音の関係、または距離のことを「オクターブ」と言う。

西洋音楽で用いられる音の種類は、1オクターブの範囲内で「ド・ド♯(レ♭)・レ・レ♯(ミ♭)・ミ・ファ・ファ♯(ソ♭)・ソ・ソ♯(ラ♭)・ラ・ラ♯(シ♭)・シ」の12種類がある。

基本的には、それぞれがとなり合う音同士と等間隔(に聞こえるよう)に並んでいる。(平均律)

五線と音の高さの関係に入る前に、そもそも西洋音楽で用いられる音の種類について確認しておきましょう。

少し数学的な話も入りますが、音の種類とそれぞれの関係については知っておいた方が将来的に「音階」や「調」といった概念を理解するのに役立つので、ぜひ知っておいてください。

どうしても数字などが絡んだ概念的な話が苦手な方は、最後にまとめてあるポイントだけでも確認しておいてください。

音の高さは「振動数」によって決まる

音楽では、高さの違う音を組み合わせてメロディをつくり出します。

そのため、音楽に用いる音の高さをどのように定めるかということは、音楽の根幹に関わるほど重要なことなのです。

音の高さは、音の振動数(=周波数)によって決まります。私たちが耳にする音の正体は、振動する波が空気などを伝わったものなのです。

私たちは、振動数が大きくなるほど音を高く感じ、振動数が小さくなるほど音を低く感じます

そして、音の高さ(=振動数)の異なる複数の音を組み合わせることで、音楽が形づくられているのです。

オクターブと12種類の高さの音

実は、不思議なことに、ある音が別の音の2の倍数(1/2・2・4・8など)の振動数であるとき、私たちはそれらの2つの音を同じ種類の音だと感じます

たとえば、現代の西洋音楽においては、440Hz(ヘルツ・振動数の単位)の振動数の音を「ラ」の音と定めています。そして、1/2倍である220Hzの音や2倍である880Hzの音を、私たちは同じ「ラ」の音であると感じるのです。

そして、同じ音に聞こえる2つの音の関係、またはその距離のことを「オクターブ」と言います。

1オクターブの関係にある音同士の振動数の比は、1:2になります。

たとえば、振動数220Hzの「ラ」と振動数440Hzの「ラ」の距離は、1オクターブです。

同様に、振動数440Hzの「ラ」と振動数880Hzの「ラ」の距離は、1オクターブであり、220Hzの「ラ」と880Hzの「ラ」の距離は、2オクターブになります。

そして、音楽の歴史が発展する中で、1オクターブの範囲内に配置される音の数は、12種類に設定されました

具体的には、1オクターブの中で、「①ド・②ド♯(レ♭)・③レ・④レ♯(ミ♭)・⑤ミ・⑥ファ・⑦ファ♯(ソ♭)・⑧ソ・⑨ソ♯(ラ♭)・⑩ラ・⑪ラ♯(シ♭)・⑫シ」という12種類の音を用いるようになったのです。
※イタリア語の音名「ドレミ~」の場合

ド・レ・ミ~だけでなく、♯や♭などの記号がついていて初学者の方は混乱するかもしれませんが、これらの記号ももう少し後の記事で詳しくお話しするのでご安心ください。

12種類の音は等間隔で並んでいる=平均律

そして、音楽の世界では、音の高さ(=音高)に関して長い間あることが問題になっていました。

それは、音楽で使用する複数の音高をどのように定めるか、ということでした。

というのも、実は1オクターブ内の12種類の音は、振動数的にちょうどよく割り切れないのです。

このような割り切れない各音の配置を、音楽的・数学的に決定するための考え方のことを「音律」と呼びます。

音律に関しては、ピタゴラスをはじめとする先人たちによって数多の試行錯誤が重ねられてきました。

音律は、調(=キー)が変わらなければ、そのキーと最も調和する振動数で音を配置すれば問題ありません。

このような、ある単一のキーのみに合った音を配列する音律を、「純正律」と言います。

しかしながら、現代では曲も複雑化し、楽曲の中でキーが変わる「転調」が当たり前に行われるようになりました。

実は、純正律においては、曲のキーが変わるとあるキーに合わせて配列されていた各音が、調和しなくなってしまうという問題をはらんでいました。

そこで、12種類の音は完全には割り切れませんが、それらを等間隔に配置した音律である「平均律」が採用されるようになりました。

平均律では、それぞれの音が100%調和するわけではありません。

しかしながら、それぞれの音同士の振動数のずれは軽微なものであり、キーが変わっても全体の調和度が変化しないという利点があります。

つまり、現代の西洋音楽では、基本的には12種類の高さの音はすべて等間隔で並んでいるということです。

各音の順番は「①ド・②ド♯(レ♭)・③レ・④レ♯(ミ♭)・⑤ミ・⑥ファ・⑦ファ♯(ソ♭)・⑧ソ・⑨ソ♯(ラ♭)・⑩ラ・⑪ラ♯(シ♭)・⑫シ」という順番ですが、となり合う音同士の間隔は(平均律では)すべて等しいのです。

たとえば、「④レ♯(ミ♭)」と「⑤ミ」、「⑤ミ」と「⑥ファ」、「⑥ファ」と「⑦ファ♯(ソ♭)」の間隔は、それぞれ等しくなるように定められています。

表記上、♯や♭の記号がついたりつかなかったりするので直感には反しますが、意外ととなり合う音同士の距離はすべて等しいということは、音楽をする上で覚えておきましょう。

音の高さと種類まとめ

音楽で用いられる、そして楽譜上で書かれる音の種類に関する解説は以上です。

少し複雑な内容だったので、最後にポイントをもう一度おさらいしておきましょう。

【 音の高さと種類まとめ 】

・音の高さは、空気を伝わる音の「振動数」で決まる。

・人は、振動数が2の倍数の音を、同じ音であると感じる。

・ある音と2の倍数の音との関係・距離を「オクターブ」と言う。

・1オクターブにある音の種類は、「①ド・②ド♯(レ♭)・③レ・④レ♯(ミ♭)・⑤ミ・⑥ファ・⑦ファ♯(ソ♭)・⑧ソ・⑨ソ♯(ラ♭)・⑩ラ・⑪ラ♯(シ♭)・⑫シ」の12種類。

・現代音楽で主流の「平均律」という考え方では、となり合う音同士の距離はすべて等しい。

これらの、音楽に用いられる音の高さや種類を踏まえたうえで、次回以降はいよいよ、各音の高さが五線上でどのように表記されているのかを見ていきましょう。

ところで、五線はただ5本の線があるだけでは書かれる記号(音符)の高さを決定することができません。

五線内に「音部記号」という記号を表記することではじめて、音の高さが決まるのです。

したがって、次の記事では、この「音部記号」の役割と種類を確認します。